No.4717 (2014年09月20日発行) P.72
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2016-09-08
最終更新日: 2017-03-23
世間でどう思われているかはわからんが、主観的には自分はかなり常識的だと思っている。その証拠に、世論調査結果などは、おおよそ予想の範囲内であることが多い。
しかし、朝日新聞(8月29日朝刊)にあった、遺伝子検査をめぐる調査結果には少なからず驚いた。52%が「受けたい」という回答だったのだ。
せいぜい2〜3割だろうという気がしていた。私だけではない。記事にあった専門家も、予想以上に高いことに驚いておられた。そこにも書かれていたが、おそらく、一般の人たちには「検査の限界や課題」が十分に伝わっておらず、「利点のイメージ」ばかりが先行しているのではないか。
遺伝子検査を受ければ、いろいろな病気、糖尿病や高血圧などなど、になる確率が未来予測できる、と単純に期待されているのだろう。しかし、残念ながら、そこまで精度は上がっていない。
米国では、食品医薬品局(FDA)が、とあるベンチャー企業に対して、遺伝子検査に基づいた健康リスク判定の中止命令を出したほどだ。
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