IgG4関連硬化性胆管炎はIgG4関連疾患の胆管病変であり,血中IgG4値上昇,胆管粘膜下における著しいIgG4陽性形質細胞とリンパ球浸潤と花筵状線維化,閉塞性静脈炎を特徴とする胆管炎であり,しばしば自己免疫性膵炎を合併する。肝門部のIgG4関連硬化性胆管炎の胆管像は肝門部胆管癌と酷似しており,肝炎症性偽腫瘍とも称される。
特徴的な胆管画像所見,高IgG4血症,病理組織学的所見,IgG4関連疾患の他臓器病変の併存およびステロイド治療の有効性などを組み合わせた「IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012」を用いて診断する。原発性硬化性胆管炎,胆管癌,膵癌,二次性の硬化性胆管炎との鑑別が必要である。IgG4関連硬化性胆管炎の肝門部や肝内胆管像は,肝門部胆管癌や原発性硬化性胆管炎の胆管像と酷似しており,特に鑑別が重要であるが,IgG4陽性細胞浸潤はいずれの疾患でも認めることがあるため,その診断はIgG4免疫染色のみで下すことは困難であり,組織像を十分に評価しなければならない。
無症状ではあるが,肝胆道系酵素の上昇を伴う例を含めたほぼ全例が,ステロイド禁忌でない限りステロイド治療の適応であり,標準的治療法は自己免疫性膵炎の治療法に準ずる。特に閉塞性黄疸,急性胆管炎および胆道外病変を有する例では,できるだけ早期の治療を行う。この緊急的な治療には高用量のステロイド治療と,胆管ステントなどの胆管ドレナージを組み合わせる。胆管炎を発症していない閉塞性黄疸例では,胆道ドレナージを行わなくともステロイド治療のみで安全に胆管狭窄が改善したとの報告があるが,ステロイド治療をするにあたり,糖尿病合併例ではまず血糖コントロールを行うとともに,胆汁細胞診,胆管生検などによって,できるだけ胆管癌を除外した上でステロイド治療を行うべきである。
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