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永遠の迷宮─私にとってのSTAP細胞② [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(36)]

No.4738 (2015年02月14日発行) P.70

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-09

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  • 生物学の実験というのは難しいところがあって、ある人にはできて、別の人にはできない、ということがままある。ある実験が急にうまくいかなくなることだって、ないわけではない。

    だから、論文についての疑惑が出だした時点で、本人に再現実験を命じればいいのにと思ったし、今でもそうすべきだったと思っている。ならば、すぐに白黒がついて、後の騒動を回避できたかもしれない。

    小保方さんが記者会見で「STAP細胞はあります」と明言してからも、論文中のデータだけではなく、実験そのものに対する疑惑が次々と出されていった。さすがに、STAP細胞そのものが虚偽だったのかと思わざるをえなくなってきた。

    そんな時、NHKスペシャル『調査報告 STAP細胞 不正の深層』(2014年7月27日放送)に、検証する科学者数名の一人としてお呼びがかかった。論文には、不正と断定はできないが、専門家からみて、まずありえない怪しげなデータがいくつもあった。

    論文そのものは、実にうまく書かれていて、疑い深く読まなければ気づかないような「トリック」もあった。しかし、これは、ぎりぎりだがレトリックの範疇であって、ルール違反とまではいえない。

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