新型コロナウイルス感染症患者の受入れのために今後設置が見込まれる臨時の医療施設で算定する入院料について、中央社会保険医療協議会総会は4月24日、「結核病棟入院基本料」を準用することなどを決めた。
新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、特措法)では、緊急事態宣言で指定された区域の都道府県知事(現在は全47都道府県)は、区域内で医療機関が不足し、医療の提供に支障が生じることが認められる場合は、「臨時の医療施設」を開設することなどと定められている。臨時の医療施設は保険医療機関として指定できるため、開設を検討する都道府県もあるなか、診療報酬上の取扱いの検討が求められていた。
24日の総会では、これら施設で算定する入院料について、特措法に基づいて応急的に医療を提供する施設であることや、一般病棟の入院料を適用すると「重症度、医療・看護必要度」の評価などの細かなルールがあることなどを考慮し、算定に伴う負担が少なくかつ、看護配置の設定が豊富な「結核病棟入院基本料」を準用することを決定。臨時の医療施設についても要件を満たせば、中等症・重症の新型コロナウイルス感染患者を対象にした報酬の算定(「救急医療管理加算」は1900点を算定、「二類感染症患者入院診療加算」の算定など)は可能だが、それ以外の入院基本料の加算は、通常通りの施設基準と算定要件を満たしていなければ算定できない扱いとする。
ただし、入院基本料の算定で求められる入院診療計画などの基準については、▶入院診療計画は簡素化したものや標準的なフォーマットの使用で差し支えない、▶各種届出書類の提出に時間がかかる場合は事後の届出でもよい―など、実情に応じた柔軟な運用を認める。
一方、厚生労働省は同日、新型コロナウイルス感染症の診療報酬上の臨時的な取扱いに関するQ&A(その14)を、地方厚生局などに送付した。このなかで同省は、体外心肺補助(ECMO)や人工呼吸器を必要とする重症患者が「脳卒中ケアユニット入院医療管理料」、「小児特定集中治療室管理料」、「新生児特定集中治療室管理料」、「総合周産期特定集中治療室管理料」、「新生児治療回復室入院医療管理料」を算定する病棟に入院した場合は、「特定集中治療室管理料」などの算定病棟に入院した場合と同様、通常の倍額の報酬が算定できることを示した。
算定日数上限を急性血液浄化などが必要な状態の場合は21日、ECMOが必要な状態の場合は35日に延長する取扱いも同じ。「二類感染症患者入院診療加算」の算定額は、▶「脳卒中ケアユニット入院医療管理料」、「新生児特定集中治療室管理料」、「総合周産期特定集中治療室管理料」算定病棟/750点、▶「小児特定集中治療室管理料」算定病棟/1000点―を算定できる。