【約10年ぶりの新規アトピー性皮膚炎治療薬】
IL-4受容体(IL-4R)はⅠ,Ⅱ型があり,IL-4Rαは共通サブユニットである。Ⅱ型は上皮細胞で発現しIL-13とも結合する。IL-4Rαをターゲットとするデュピルマブは皮膚バリア機能低下やサイトカイン産生を誘導するIL-4/IL-13シグナルを抑制する。大規模国際臨床試験で有効性と安全性が確認され1),わが国で2018年1月に既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎患者に対して保険が適用された。4月に薬価収載され,厚生労働省から最適使用推進ガイドラインと保険適用上の留意事項が公表された。
現在,15歳以上の重症アトピー性皮膚炎患者の,症状改善と維持に有用な薬剤として使用されている。また,病変部/非病変部における効果につき分子細胞生物学的評価も行われ,投与4~16週で皮膚と血清中の2型炎症マーカー(IL-13,IgE等)の抑制,皮膚病理所見の改善が認められた2)。
18年に日本皮膚科学会と日本アレルギー学会で統合された「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018」が公表された3)が,デュピルマブは未記載であり,次回の改訂ではアトピー性皮膚炎治療における適切な位置づけが望まれる。
【文献】
1) Simpson EL, et al:N Engl J Med. 2016;375(24): 2335-48.
2) Guttman-Yassky E, et al:J Allergy Clin Immunol. 2019;143(1):155-72.
3) 加藤則人, 他:日皮会誌. 2018;128(12):2431-502.
【解説】
武藤 潤 愛媛大学皮膚科講師