側弯の定義は脊柱が冠状面にて10°以上側方へ弯曲したものであり,疫学的調査では,Cobb角10°以上の側弯症の頻度は人口比約2%前後と報告されている1)。一方,治療の介入が必要とされる側弯症の頻度は0.1~0.3%とされている2)3)。側弯症には多くの原因があり,進行や治療方針が異なるために原因疾患の有無を確認する。原因となる疾患を特定できない特発性側弯症が最も多く全体の7割を占めるが,近年,特発性側弯症には遺伝子の関与が指摘されている4)~6)。特発性は発症時期により,乳幼児期,学童期,思春期,成人期にわかれる。特発性以外では,生まれつき半椎や癒合椎など椎骨に形態的な異常がある先天性,脳性麻痺,脊髄空洞症,脊髄腫瘍などによる神経性,多発性関節拘縮症,筋ジストロフィーなどによる筋原性などがある。
体幹変形,バランス異常。本人は自覚がないことが多いために小児科検診,学校検診や家族が指摘することが受診のきっかけとなることが多い。
立位で診察を行い,肩の高さ,肩甲骨の張り出し,ウエストラインの左右差,色素沈着などの皮膚所見がないかどうかを確認する。次に前屈位となり,椎体の回旋変形によって起こる肋骨隆起や腰椎隆起を確認する。神経学的診察では上・下肢の深部腱反射や腹壁反射を確認し,左右差がないかどうかを確認する。神経学的診察で異常が認められた場合には,MRIによる精査が必要とされる。
画像検査として必須なものは,立位姿勢での脊椎全長単純X線写真である。正面像で最も傾きが大きい椎体の頭側終板および尾側終板の垂線がなす角度(Cobb角)を測定する。最も大きいカーブのCobb角は,治療方針を決定する際の重要な項目となる。女児であれば初潮が来ているか,来てからどれだけ経過しているかが性成熟の指標となる。骨成熟を評価する上で最も一般的なのは,脊椎全長正面像における腸骨稜の骨化形態を評価するRisser分類である。骨化は外側前方より始まり成長とともに内側へ向かい,最終的には骨端線が閉鎖し,これらを0~5の6段階に分類する。
多くの軽症例では治療は必要なく,定期的な経過観察が必要となる。若年発症例では改善する例も存在するが,進行する可能性があることを念頭に置く。進行性のもの,麻痺やバランス不良を伴うものでは側弯専門医への受診を勧める。
現在までの多くの研究から,治療が必要とされるような側弯症に対して,マッサージや体操療法などによる矯正効果は認められていない。
側弯症と診断されたにもかかわらず患者が医療機関を受診しなくなると,重度の側弯症になっていても進行具合がわからなくなることがある。必ず定期的に受診するよう説明を行う。
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