類天疱瘡は,表皮基底膜部蛋白に対する自己抗体によって,皮膚や粘膜に水疱やびらん等の症状を呈する疾患群である。主な病型として,水疱性類天疱瘡,粘膜類天疱瘡,後天性表皮水疱症,線状IgA水疱性皮膚症がある。水疱性類天疱瘡は最も頻度が高く,70歳代以上の高齢者に好発する。
確定診断には,①臨床症状(皮膚や粘膜に多発する緊満性水疱・びらん,皮膚に多発する瘙痒性紅斑),②病理組織学的所見(表皮下水疱),③免疫学的検査所見〔蛍光抗体直接法で表皮基底膜部に抗体や補体の沈着を認める,蛍光抗体間接法で血中の抗表皮基底膜部抗体を検出する,ELISA(CLEIA)法で血中の抗BP180抗体や抗BP230抗体,抗Ⅶ型コラーゲン抗体を検出する〕が重要である。
重症度によって治療方針を決定する。水疱性類天疱瘡や後天性表皮水疱症では,BPDAI(bullous pemphigoid disease area index)を測定し,厚生労働省指定難病の重症度判定基準を用いて軽症か中等症以上かを判定する。粘膜類天疱瘡では低リスク群(口腔粘膜±皮膚の限局性病変)と高リスク群(広範囲の口腔粘膜病変や口腔以外の粘膜病変)に分類する。
軽症(あるいは低リスク群)の場合は,ステロイド外用(すべての病型)やミノサイクリン(+ニコチン酸アミド)内服(水疱性類天疱瘡,粘膜類天疱瘡),コルヒチン(後天性表皮水疱症),ジアフェニルスルホン(DDS)内服(すべての病型)を選択する。低用量のステロイド内服(プレドニゾロン0.2~0.3mg/kg/日)を選択することもある。中等症以上(あるいは高リスク群)では,中等量以上のステロイド内服(プレドニゾロン0.5~1mg/kg/日)が治療の中心である。
病勢に応じてステロイドパルス療法やIVIg療法,血漿交換療法,免疫抑制薬(アザチオプリン,シクロスポリン)等を併用し,プレドニゾロン0.2mg/kg/日以下での維持をめざす。
線状IgA水疱性皮膚症の治療法は確立されていないが,ステロイド内服に加えDDSが奏効する症例が多いため,積極的に考慮する。
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