耳鼻咽喉科は小科であるが、取り扱う領域は多岐にわたる。その中で頭頸部腫瘍を専門とするサブスペシャルティとして「頭頸部外科(Head and Neck Surgery)」がある。
昨今、医師の外科離れが問題となっているが、耳鼻咽喉科も同様で、とりわけ頭頸部外科をめざす医師の不足は深刻である。その理由として、よく言われる「3K(kitsui、kitanai、kiken)の職業」であることに加えて、「論文以外の実績が評価されない」「スペシャリストとしての評価が低い」ことなどがある。その結果、「大学でのポスト、仕事に見合う収入が得にくい」ということも問題となってくる。
ところで、何年か前の日本頭頸部癌学会において、若手医師を中心に「頭頸部外科医を育てるには」というテーマでラウンドテーブルディスカッションが開かれた。その際、頭頸部外科を専門とする医師たちに対するアンケート調査が行われたが、質問項目「頭頸部外科を選んだ理由について」の回答で圧倒的に多かったのは、「やりがいのある分野だから」というものであった。特に、頭頸部手術の専門性や独創性、テーラーメイド医療の必要性、診断・治療の一貫性、重要な機能や生命に関わる分野といった面にやりがいを見出しており、頭頸部外科医の志の高さが再認識された。
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