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認知症になっても人として同等な社会づくりを [プラタナス]

No.4740 (2015年02月28日発行) P.1

和田行男 ((株)大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部通所・入居事業部部長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2016-12-27

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  • 誰もが嫌なことをされたら拒み、怒る。拒んでもよいし、怒ってもよいと世間で認知されてもいるから堂々と意思表示する。

    自分の意思とは無関係に胸を触られたら、「何するんですか、やめてください」と、声を荒げて拒むだけでなく、触った人をひっぱたく人もいるかもしれない。しかし、荒々しい声を出すことも、ひっぱたくことも「抵抗の意思表示」であり、それを問題視する人は、まずいないだろう。

    認知症である“およねさん”(仮名)が骨折で入院したときのことだ。およねさんは入院中に何をしてもおかしくない状態にあるため、手(足)を拘束するというので、僕が泊まり込んで支援することにした。手術室から戻ったおよねさんは計器をつけられてベッドに横たわっていたが、寝返りを打つたびに計器が外れるので、その都度つけなおしていた。

    夜中、巡回に来た看護師は、およねさんがどういう人かを僕に聞くこともなく、およねさんの胸に触れた。およねさんは、驚きも手伝って、「何するのよ」と言わんばかりに叫んだ。と同時に、看護師に蹴りを食らわしたのだ。すると、すかさず看護師が「この方は暴力をふるう方ですか」と言ったものだから、僕は「あんな、看護師さん。嫌なことをされたら誰だって怒るやろな」と言った。

    案の定、退院時のサマリーには「看護師に暴言を吐き、暴力行為あり」と書かれていた。こうして、認知症という状態にある人が一方的に「問題患者」にされているのである。

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