株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

結核性関節炎[私の治療]

No.5026 (2020年08月22日発行) P.41

井澤一隆 (国立病院機構大阪刀根山医療センター整形外科部長)

登録日: 2020-08-25

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 結核性関節炎は稀な疾患であるため,変形性関節症,関節リウマチ,骨壊死,化膿性関節炎などとの誤診率が高い。

    ▶診断のポイント

    典型的な感染徴候を伴わないことが多く,他疾患との鑑別は困難である。関節穿刺による関節液検査が必須である(抗酸菌塗抹・液体培養・遺伝子同定検査)。鑑別診断の際は肺結核の合併も念頭に置き,胸部画像所見,喀痰抗酸菌検査についても確認する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    治療の原則は,抗結核薬導入と手術による病巣の可及的縮小である。肺と比べると血行に乏しいので,肺結核の標準治療期間を3カ月間延長して9カ月間内服とする。重症肺結核合併,免疫低下を伴う合併症,病巣治癒遷延などでは,治療期間を延長する。また,薬剤耐性があった場合は,専門家による薬種・投与期間の検討が望ましい。詳しくは,日本結核病学会のガイドライン1)を参照されたい。

    感染症治療の基本原則であるが,菌が検出されるまで抗結核薬は投与しない。また,化膿性関節炎を疑った場合のレボフロキサシン単剤投与,MRSA感染を疑った場合のリネゾリド投与は,結核が鑑別できていない場合は要注意である。レボフロキサシン,リネゾリドは結核菌にも有効であるが,単剤では必ず耐性化する。関節リウマチ治療において,スクリーニング検査で潜在性結核と診断された場合のイソニアジド予防投与においても,十分な注意が必要である。関節結核を見落とすと,単剤投与されたイソニアジドは耐性化する2)

    残り2,082文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    長崎県五島中央病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 整形外科 1名
    勤務地: 長崎県五島市

    当院は下五島地域唯一の基幹病院として、長崎大学病院等と連携しながら、五島で完結できる医療を目指しています。
    離島内の他の医療機関では出来ない高度・専門医療や離島で不足しがちな救急医療、周産期・小児医療、精神科医療、回復期医療を提供することで“郷診郷創”(地域での受診が地域を創る)を進めています。
    共に地域医療を担っていただける医師を募集しています。

    癌などの専門的治療の他、精神・結核などの政策医療、24時間2.5次救急にも対応しています。
    3次救急患者については、遠隔画像伝送システムを利用し、本土までヘリコプター搬送して住民の命を守っています。
    また、基幹型臨床研修病院として、研修医の受け入れも行っています。

    ロケーション的には、美しい海と豊かな自然に恵まれ、四季を通じて、マリンスポーツや釣りが楽しめます。
    ショッピング等については、中型・大型のスーパーが数店舗あり、ファミリーレストラン・コンビニエンスストアもありますので、基本的に不便を感じることはないと思います。
    食に関しては、五島牛や新鮮な魚介類、季節の旬な野菜が何時でもおいしく食べることができます。
    共に五島で働きましょう。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top