結核性関節炎は稀な疾患であるため,変形性関節症,関節リウマチ,骨壊死,化膿性関節炎などとの誤診率が高い。
典型的な感染徴候を伴わないことが多く,他疾患との鑑別は困難である。関節穿刺による関節液検査が必須である(抗酸菌塗抹・液体培養・遺伝子同定検査)。鑑別診断の際は肺結核の合併も念頭に置き,胸部画像所見,喀痰抗酸菌検査についても確認する。
治療の原則は,抗結核薬導入と手術による病巣の可及的縮小である。肺と比べると血行に乏しいので,肺結核の標準治療期間を3カ月間延長して9カ月間内服とする。重症肺結核合併,免疫低下を伴う合併症,病巣治癒遷延などでは,治療期間を延長する。また,薬剤耐性があった場合は,専門家による薬種・投与期間の検討が望ましい。詳しくは,日本結核病学会のガイドライン1)を参照されたい。
感染症治療の基本原則であるが,菌が検出されるまで抗結核薬は投与しない。また,化膿性関節炎を疑った場合のレボフロキサシン単剤投与,MRSA感染を疑った場合のリネゾリド投与は,結核が鑑別できていない場合は要注意である。レボフロキサシン,リネゾリドは結核菌にも有効であるが,単剤では必ず耐性化する。関節リウマチ治療において,スクリーニング検査で潜在性結核と診断された場合のイソニアジド予防投与においても,十分な注意が必要である。関節結核を見落とすと,単剤投与されたイソニアジドは耐性化する2)。
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