写真は、「純文学書下ろし特別作品」として刊行された初版本(絶版)。著者第4作目の長編小説。第21回谷崎潤一郎賞受賞作品
村上春樹 著(新潮社、1985年刊)
〔写真筆者提供〕
1年間の新刊本は7万6000点になるらしい(2008年の場合)。年間100冊読破をめざすと言う友人がいるが、週2冊はなかなか難しい。それだけたくさん読んでも760点に1冊である。この中から長く心に残る本に出会うことは奇跡のようであるが、不思議なことに、私はかなり多くの本が記憶に残っている。私の本の選び方は、気に入った作家を片っ端から読んでいくやり方である。とっかかりは、誰かが良いと言っていた、書評で褒めていた、賞を取った本ということになる。
本書は、25年くらい前に友人から紹介され、ハードカバーを買ったものの、本棚で埃をかぶっていた。1冊も読んだことがないのに、何故か村上春樹を好きになれず、タイトルが変なこともあり、一度も手にすることはなかった。ところが、5年ほど前、何気なく手に取ったところ、夢中になって読み進んでしまった。その後は村上春樹の大ファンとなり、短編を含めて買い漁って読み続けている。
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