著者の橋本治氏はイラストレーターから1977年『桃尻娘』で小説家に転じ、2008年には『双調平家物語』(中央公論社)により第62回毎日出版文化賞を受賞。「新潮45」は新潮社より1982年創刊、45歳以上を読者対象とした月刊誌
昨年定年退職をし、その後いくつかの病院で外来診療を行っているが、何やら気持ちが今一つ落ち着かないと感じていた。その大きな理由は、加齢に伴う身体の変化と、年齢相当な気持ちの持ち方ができていないのではないかという不安、実感だったようである。そのような時に手にしたのが、雑誌「新潮45」5月号に掲載されていた橋本 治氏のコラム「年を取る(5)」であった。
はやりのコピペで少し引用してみよう。【老人の嫌われ方の一つに「お前に任せた」と言って、そのくせ後になってなんだかんだと文句を付けるというのがあります】とあり、その後、【「任せる」と言うのだったら、その分の権利を譲渡しなければならない】と続いている。自分より若い人と日常の生活をともにしていると、つい、「やはり俺が出ていくか!」といった気持ちを持ったり、一方、年甲斐もないのでそれを自戒したり、相反する気持ちがあって、それが落ち着かない気持ちの原因の一つであったかと、気づかされた。
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