胆囊結石は,一般人口の5~10%が保有すると推定されている。胆汁中コレステロールの過飽和,胆囊収縮能の低下が成因と考えられている。有症状率は20~40%で,年間発症率は1~数%とされている。有症状となった場合,治療が必要となる。
心窩部痛または右季肋部痛で,急性胆囊炎を発症した場合はこれらに発熱,悪心・嘔吐などが加わる。
急性胆囊炎を併発しない限り,血液・生化学検査では胆囊結石そのものによる異常は認めない。画像診断では,腹部超音波検査での胆囊結石の描出率が最も優れており,音響陰影を伴う高エコー域として描出される。音響陰影を伴わない場合,ポリープとの鑑別が困難となることがあるが,体位変換で位置が変わることにより,結石との診断が可能となる。手術を施行する場合は,胆管の合流形態の確認のために,drip infusion cholangiographic-CT(DIC-C)またはmagnetic resonance cholangiopancreatography(MRCP)を術前に施行する。
有症状の場合は,治療が必要となる。無症状の場合でも,胆囊癌合併の可能性があるため,定期的なフォローアップを行う。充満結石の場合,腹部超音波検査での胆囊壁の評価ができず胆囊癌の早期診断が困難となるので,無症状でも手術を推奨する。
治療の基本は,腹腔鏡下胆囊摘出術である。手術以外の治療としては,経口胆石溶解療法と体外衝撃波結石破砕術(ES WL)がある。前者は,15mm未満の孤立性のX線陰性コレステロール結石に適応がある。後者は,3個以内で,2~3cm以下の結石が適応となる。両者とも結石が消失しても結石再発が高率であることから,あまり行われていない。腹腔鏡下胆囊摘出術は,低侵襲で胆囊の欠落症状がほとんどないため,第一選択となっている。
残り1,099文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する