▶5000施設への導入実績
▶医師目線で開発されたソフト
▶低コスト
▶ユーザー同士の交流・情報交換
「医師が医師へ良いシステムを」との思いから生まれた電子カルテ「ダイナミクス」。低コストながら診療業務のすべてをカバーする機能性を持ち、約5000施設に導入されている人気ソフトだ。ダイナミクスが多くの医師から支持を集める秘訣について、開発者で内科医の吉原正彦氏に話を聞いた。
吉原 私はもともと工学部出身で自動車メーカーにエンジニアとして就職し、その後医学部に入って41歳で医師になりました。開業医として診療を行っていましたが、当時使っていたレセコンはデータを自由に活用することができませんでした。診療情報は貴重なデータです。自分が管理・運用したいという思いが強くなり、レセコンを自作することにしたのです。一定の完成度に達した1999年にWebサイトで公開すると、ユーザーがいろいろな人に紹介してくれるようになり、拡大していきました。
吉原 最大の特徴は、「患者管理システム」というネーミングで公開したように、すべてのデータをユーザーが自由に取り出して加工することができるところにあります。データを基に疫学調査をしたり統計を取ったりして診療に活用することは医師の醍醐味。契約を中止したいという先生にも使用期間中のデータはお渡しするようにしています。
ダイナミクスはレセコン一体型なので、受付から診察、会計、レセプト作成まで一連の診療業務をすべてまかなうことができるという特徴もあります。
開業医は「この検査や薬を処方したら患者さんの負担はいくらになるのか」ということを意識しながら診療を行うことが大切だと思います。ダイナミクスは、カルテに入力すると患者さんの負担が一目で分かります。「後発品にしたら500円安くなりますよ」などとその場で提案すると、患者さんが喜んでくれることも多く、こういうコミュニケーションが医師と患者の信頼関係を強くしていくのだと思います。
吉原 今回のコロナ禍で固定費の抑制が重要な経営課題であることが改めて突き付けられました。レセコンや電子カルテは医療機器と違い、使用すれば診療報酬が付くものではありません。できるだけ少ない負担で導入してもらえるように、保守料は月額1万1000円という設定にしています。
低コストで提供できるのは、発売からしばらくは開発コストがほぼゼロだったからです。この頃は私が1人で診療を続けながら趣味のような形で開発していました。ユーザーが増えてからはユーザー同士のメーリングリストや勉強会などを通じ、導入事例の紹介や運用の工夫などについて活発な情報交換が行われるようになりました。ユーザーからの提案で追加された機能も数多くあり、費用をかけずに改良を重ねることができている点も大きいと思います。
患者さんの情報を自分でしっかり管理し、診療に活かしたいと考えている先生に使ってほしいと思います。患者さんは目の前の医師を信頼してプライベートな医療情報を話してくれています。クラウド型の電子カルテが増えていますが、クラウドにデータを保存するということは、患者さんの知らないところに預けるようなものです。自院で責任を持って大切な情報を管理するダイナミクスは、厚労省ガイドラインに対応しており、セキュリティにも万全を期しています。
ダイナミクスは標準装備でも十分機能的ですが、マイクロソフトOffice Access(アクセス)をベースに構築していて他のシステムとの連携などカスタマイズがしやすいので、ITに詳しく自分だけの電子カルテを作りたい先生にも向いています。そうした事例がユーザー間で共有され、普及していくこともあります。ダイナミクスはユーザーに恵まれ、ユーザーとともに進化してきたソフトです。これからもユーザーからの声に耳を傾け、医師の診療と経営の両面で役に立ちたいと考えています。
開業医のための診療・経営支援ツール
ダイナミクスはレセコン機能を統合した診療所向けの電子カルテ。1999年の発売以来、医師目線のニーズに基づき開発された安価で使いやすいソフトとして人気を集めている。製品名は「力学」が由来。吉原氏の「小さな力でも大きな動き、働きにつながれば」という思いが込められている。
ダイナミクスはカルテ作成と会計画面が一体化しており、医師が診察しながら患者の負担金を把握できるメリットがある。会計時には自動的に医療費が算定されるなど業務効率化が図れるため、ユーザーの中には診療と事務を1人でこなす医師もいる。受付・待合室での待ち時間短縮にもつながる。
ダイナミクスの電子カルテ画面(上)は、必要な情報を凝縮した独特のインターフェース。マウスのクリニックのみでDoやセットなど定型入力ができる。検査結果のグラフ表記や画像の取り込みが可能で、シェーマ機能もあり、標準仕様でも幅広い機能を搭載している。カスタマイズソフトも数多く公開され、自由度が高いところも特徴の1つだ。
診療の場面では、薬歴や検査結果など入力した情報を時系列でグラフ化(下)でき、処方内容の検討や患者への説明、医療連携などに有用な情報となる。
スマートフォンやタブレットにも対応。携帯カルテとして在宅医療の現場で活用できる。災害時や停電を想定した機能も備えており、ノートPCとUSBさえあれば診療を行うことが可能だ。
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発売:ダイナミクス
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