紹介状なしでの大病院受診時定額負担について社会保障審議会医療保険部会は12月2日、義務化対象拡大の厚生労働省案を大筋で了承した。公的医療保険からの支出を抑制するため、初・再診時の保険給付範囲から一定額を除外するスキームに、医療関係者は当初、否定的見解を示していたが、外来の機能分化を進めるための例外的措置であることや、対象患者が限定的であることの明確化を条件に、承認した。今後、中央社会保険医療協議会に議論の場を移して制度設計の詳細を検討することになる。
厚労省はこの日の部会に、見直し案の考え方などを改めて整理した資料を提出した。基本的スキームに変更はなく、紹介状なしで大病院外来を受診した場合の定額負担徴収の義務化対象に、「紹介患者への外来を基本とする医療機関」のうち、一般病床200床以上の病院を追加。定額負担額の引き上げも行い、対象患者の初・再診では保険給付範囲(医療保険から支給される選定療養費)から一定額を控除し、控除相当以上の額を現行の定額負担に上乗せする。初診の場合の控除額は2000円程度、定額負担の総額は7000円以上に設定される見通し。また、病状が安定した患者の逆紹介を推進する観点から、再診時における定額負担徴収の除外要件も見直す。
厚労省によると、外来初診患者数全体に占める定額負担徴収患者の比率は、定額負担額が5000~7000円の場合で10.9%。これが7000~1万円の場合は5.3%にほぼ半減することから、初診時の負担額を7000円に引き上げた際に、保険給付範囲縮小の対象となる患者は、例外的かつ限定的になるとの見方を示している。
なお、今回義務化対象に加わる「紹介患者への外来を基本とする医療機関」は、厚労省の「医療計画の見直し等に関する検討会」で検討中の「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)を地域で基幹的に担う医療機関(以下、基幹的医療機関)を想定したもの。同検討会では、国が今後示す基準を目安に、希望する医療機関が手挙げする形で、基幹的医療機関を選定し、地域医療構想調整会議などで確認・調整する仕組みが考えられている。