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デュピュイトラン拘縮[私の治療]

No.5042 (2020年12月12日発行) P.52

柿木良介 (近畿大学医学部整形外科学教室教授)

登録日: 2020-12-11

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  • デュピュイトラン(Dupuytren)拘縮は,緩徐に進行する手掌腱膜の良性線維増殖性疾患である。Caucasianに多く,日本人での発生率は7~15%と言われている。家族内発生も多数報告されており,発症に遺伝的素因が関与していると考えられる。家族内発生では,散発的な発症例に比較して発症年齢が若く,多数指に及び,手掌以外にも足底,陰茎にも及ぶ重症例が多いと言われている。正常手掌腱膜の主成分はcollagen type 1であるが,デュピュイトラン拘縮の進行に伴いcollagen type 3へ変質し,皮下に結節や拘縮索が形成され,手指の伸展制限,指間の狭小化,進行すると手指の屈曲拘縮を起こしてくる。一般的には疼痛はないが,進行例では手指の屈曲拘縮のため,日常生活動作に不便をもたらす。
    診断は臨床所見のみで,本疾患に特異的な臨床検査や放射線学的評価はない。2010年よりcollagen分解酵素薬であるザイヤフレックス注射薬が使用可能となったが,2020年より米国製薬メーカーから供給停止となり,現在は手術療法のみであるが,将来再び供給される可能性はある。

    ▶診断のポイント

    原則として,疼痛のない手掌皮下の線維性構造物が次第に指の掌側にも伸展し,MP関節,PIP関節の屈曲拘縮をきたす。尺側指に多く発生し,母指に発生することは稀であるが,時に母指-示指間に線維性構造物が発生し,次第に指間距離が減少してくることがある。時に線維性構造物は指背部にも伸びる。MRIでは,T1 low intensity,T2 low intensityの構造物を皮下に認める。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    皮下の腫瘤のみで,PIP関節,MP関節の伸展制限が30°未満の場合は経過観察を行う。稀に疼痛を伴う線維性構造物のある場合には,伸展制限が30°未満でも手術的に切除が適応になる。

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