政府の全世代型社会保障検討会議は12月14日、最終報告書「全世代型社会保障改革の方針」を取りまとめた。調整が難航した後期高齢者の窓口負担見直しは、2割負担の対象を所得上位30%とすることで決着。施行時期は22年度後半で調整する。
75歳以上の後期高齢者のうち2割負担の対象になるのは、課税所得が28万円以上および年収200万円以上の場合(単身世帯の場合。複数世帯の場合は後期高齢者の年収合計が320万円以上)。対象者は約370万人、後期高齢者支援金の削減効果は880億円と見込まれている。施行時期は2022年10月から23年3月までの間で調整し、政令で定める。施行に際しては、長期頻回受診患者への配慮策として、2割負担化の影響が大きい外来患者を対象に、施行後3年間、1カ月の負担増額が最大でも3000円に収まるようにする措置を導入する。
医療提供体制の改革では、医療資源を重点的に活用する外来に着目して、医療機関が都道府県に外来機能を報告する制度を創設。地域の実情に応じて紹介患者の外来を基本とする医療機関を明確化することにより、外来機能の明確化と連携を推進する。紹介状なしで大病院外来を受診した場合の定額負担徴収の義務化対象は、「紹介患者への外来を基本とする医療機関」(「医療資源を重点的に活用する外来」を地域で基幹的に担う医療機関を想定)のうち、一般病床200床以上の病院に拡大する。
定額負担額も引き上げるが、その際には、保険給付の範囲から一定額(初診の場合は2000円程度)を控除し、控除分以上の額を現行の定額負担に上乗せする方法を採用。同時に公的医療保険からの支出抑制も図る。
都道府県の医療計画に新興感染症への対応を位置付けることや、オンライン診療の推進などについても記載した。21年の通常国会に、これらの改革の実現に必要な医療法や健康保険法の改正案を提出する。