政府は12月21日の閣議で、2021年度予算案を決定した。一般歳出における社会保障関係費は前年度比0.4%増の35兆8421億円で、新型コロナウイルス感染症の影響による医療費の減少分を反映させた、社会保障関係費の実質的な伸びは3500億円程度となった。当初は4800億円程度の自然増が見込まれていたが、薬価の中間年改定などにより、1300億円程度の削減を図った。年明けの通常国会に提出する。
厚生労働省所管の一般会計は総額33兆1380億円で、20年度当初予算に比べて1519億円(0.5%)増加した。このうち社会保障関係費は、1609億円(0.5%)増の32兆7928億円となった。21年度予算案は「15カ月予算」として20年度第3次補正予算案と一体的に編成。切れ目なく施策を展開することを通じ、コロナ禍での新たな日常を下支えする。施策の柱には、①ウィズコロナ時代に対応した保健・医療・介護の構築、②雇用就労機会の確保、③「新たな日常」の下での生活支援―の3項目を据えた。
このうち①では、感染防止に配慮した医療・福祉サービス提供体制の確保として533億円(第3次補正では1兆6442億円)を計上。新型コロナに対応するための診療報酬上の特例的な措置455億円を充てて、▶6歳未満の外来診療、▶外来における感染症対策、▶回復患者の転院支援、▶中等症以上の患者に対する診療―などを評価する。
地域医療構想・医師偏在対策・医療従事者の働き方改革の三位一体改革では、▶地域医療介護総合確保基金等による地域医療構想の推進、▶医師少数区域等に勤務する医師への支援、総合診療医の養成支援、▶ICT活用やタスク・シフティングの推進、▶看護師の特定行為研修、医師事務作業補助者・看護補助者の確保・定着支援―などの経費として1021億円(補正3.6億円)を確保した。自主的な病床削減や病院統合を財政的に支援する「地域医療構想の実現を図るための病床機能再編支援」には195億円を計上。法改正を行い、21年度からは消費税財源による事業として位置づける。
介護関係では、介護報酬を0.70%引き上げ、給付の適正化を行う一方で、感染症への対応力強化やICT化を促進するなど、メリハリのある改定を実施。このうち0.05%分は新型コロナ対応として9月末までの間の特例的な評価に充てる。保健医療分野では、データヘルスの集中改革プランを実現するための経費として196億円(補正90億円)を計上し、▶オンラインによる医療保険の被保険者資格の確認、▶特定健診情報や薬剤情報などの保健医療情報を本人や本人の同意を得た医療機関が確認できる仕組みの構築、▶健康・医療・介護情報の連結分析が可能な環境の整備―などを推進する。