厚生労働省は1月12日、「令和元年度(2019年度)における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況」を公表した。それによると、19年度に保険指定の取消処分などを受けた医療機関は21件で、前年度に比べて3件減少。処分の原因は、不正請求(架空請求、付増請求、振替請求、二重請求)が最も多かった。
19年度の指導の実施状況をみると、▶個別指導4715件(対前年度比9件減)、▶新規個別指導5711件(251件減)、▶集団的個別指導1万3158件(108件減)―となった。このうち医科は、▶個別指導1639件(14件減)、▶新規個別指導2199件(156件減)、▶集団的個別指導4443件(62件減)―だった。適時調査の実施は3544件(92件減)、監査は55件(3件増)。医科は、適時調査3519件(104件減)、監査18件(2件増)だった。
保険医療機関の指定取消や保険医の登録取消の処分対象(取消相当を含む)になったのは、保険医療機関等21件(3件減)、保険医等15人(4人減)。医科の内訳は、保険医療機関の指定取消7件(2件減)、保険医登録取消6人(1人増)だった。保険医療機関等の指定取消(21件)の端緒となったのは、保険者、医療機関の従事者または医療費通知に基づく被保険者などからの通報が12件で、過半数を占める。そのほかの9件は、警察の摘発、新聞報道、個別指導などだった。
保険医療機関などから返還を求めた額は108億7355万円で、前年に比べて21億3515万円増えた。内訳は、▶指導による返還分34億2498万円(1億4629万円増)、▶適時調査による返還分50億4652万円(1億1380万円増)、▶監査による返還分24億205万円(18億7506万円増)―となった。