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祖父の似顔絵:私が認知症と出会った日[プラタナス]

No.5049 (2021年01月30日発行) P.3

近藤敬太 (藤田医科大学 総合診療プログラム・ 豊田地域医療センター 総合診療科)

登録日: 2021-01-30

最終更新日: 2021-01-27

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  • 私は幼少期を離婚した父に引き取られ、父方の祖父母と私の4人で暮らしていた。父は会社勤めで帰りも遅く、多くの時間を祖父母と過ごした。祖父は元画家であり、毎日のように油絵を描いたりして余生を自由に過ごしていた。小学5年生の頃、祖母が脳出血で倒れ、その頃から祖父はパタッと絵を描くのを辞めて祖母を懸命に介護した。しかし、徐々に父のギャンブル癖が再発して家計は火の車となり、私は中学生の時に母親の元へと引き取られた。

    母親の元で医学部にまで進学させてもらうことができたが、大学では部活や飲み会に明け暮れる日々、祖父とも年に1回程度会うのみとなっていた。大学5年生の深夜に1本の電話が鳴った。「医療関係者の方ですか?」、「はい、一応」、「今、〇〇さん(祖父の名前)が××市で側溝にはまって動けないところ通報がありました、財布の中に医師 近藤敬太先生~と、メモ書きと電話番号があったもので……」。私は、恐らく祖父が私の携帯電話番号を大事に財布にしまっていたこと、発見された場所は祖父の家から10kmは離れているであろうことを理解した。すぐに父親の連絡先を伝え、後に大腿骨骨折で入院になったことがわかり、入院先の病院へと見舞いに行くことにした。

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