【質問者】
阪本良弘 杏林大学医学部付属病院肝胆膵外科診療科長・ 教授
【容積計算に基づく予測残肝機能から安全切除限界を具体化する】
わが国の肝臓外科学は,障害肝に発生する肝癌の治療をどう安全に行うかという命題のもとに発展してきたため,インドシアニングリーン(ICG)を用いた肝予備能評価や肝容積計算などの精緻な術前評価法が開発され,それが肝切除術の安全性を担保する基盤となっています。
肝臓の安全切除限界としては幕内基準やICG Krem(残肝K値)が最も有名であり,前者では「ICG 15分停滞率(ICG-R15)」,後者では「ICG血漿消失率(ICG K)」が用いられます。しかし,ICG投与後の初期血中濃度は体格の影響を大きく受けるため,15分値1点のみの計測では必ずしも正確な値の算出ができず,多くの場合ICG K値から補正したICG-R15が用いられています。したがって,これら2つの基準で用いられるICG試験の値は本質的にほぼ同等と考えてよいと思います。
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