政府は2月2日、外来機能報告の創設や医師の働き方改革などの関連事項を盛り込んだ、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案」(以下、医療法等一部改正案)を閣議決定し、同日、国会に提出した。
医療法等一部改正案は、①地域の実情に応じた医療提供体制の確保、②医師の働き方改革、③各医療関係職種の専門性の活用―などが主な内容となっている。
①では、入院医療の病床機能報告を参考に、「外来機能報告制度」を創設。療養病床または一般病床を有する病院、診療所の管理者に、▶「医療資源を重点的に活用する外来」の実施状況、▶当該外来を地域で基幹的に担う意向がある場合はその旨―を都道府県知事に報告することを求める。無床診療所からの報告は任意とする(22年4月1日施行)。
医療計画は、記載事項に「新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保」を追加し、第8次計画から5疾病6事業とする(24年4月1日施行)。地域医療構想を推進するための施策では、現行の「病床機能再編支援事業」を消費税が財源の「地域医療介護総合確保基金」による事業に位置づけ直すとともに、再編を行う医療機関に対する税制上の優遇措置を新たに講じる(21年4月1日施行)。
②では、医師の休日・時間外労働について、地域医療の確保や技能向上を目的とした研修のために年1860時間までの実施を特例的に認める、「特定地域医療提供機関」(B水準)、「連携型特定地域医療提供機関」(連携B水準)、「技能向上集中研修機関」(C-1水準)、「特定高度技能研修機関」(C-2水準)を都道府県知事が指定する制度を創設。これら医療機関の管理者には、労働時間短縮計画の策定や、指定対象となった業務に従事する医師に対して、連続勤務時間制限、勤務間インターバルの確保といった健康確保措置を実施するよう義務づける(24年4月1日に向けて段階的に施行)。
関連して③では、医療関係職種の業務範囲を拡大して、医師からのタスクシフト/シェアを推進。救急救命士は、重度傷病者が医療機関に到着し、入院するまでの間の救急救命処置の実施を可能とする(21年10月1日施行)。医師の養成では、共用試験合格を医師国家試験の受験資格要件に定めるとともに(25年4月1日施行)、同試験に合格した医学生が臨床実習として医業を行えることを明確にする(23年4月1日施行)。