厚生労働省医政局は2月8日に開かれた社会保障審議会医療部会に、今通常国会に提出した医療法等の一部改正案や、2021年度予算案などの内容を報告した。委員からは、改正案や予算案に盛られた医師の働き方改革や地域医療構想、外来機能の明確化・連携を進めるための施策について、実効性が担保されるよう医療機関への手厚い支援などを求める声が相次いだ。
医師の働き方改革について医療法等一部改正案は、地域医療の確保や研修のために、長時間労働にならざるを得ない医療機関(B水準、連携B水準、C水準)を都道府県知事が指定する制度を創設。これら医療機関では年1860時間までの休日・時間外労働を可能とする一方、医師労働時間短縮計画の作成や医師に対する健康確保措置(面接指導、連続勤務時間制限など)の実施を義務づける。医療計画は第8期計画から記載事項に「新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保」を追加し、5疾病6事業に改める。外来機能の明確化を通じて、患者の受診行動を適正化することを目指し、一般病床や療養病床を持つ病院、診療所に「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)の実施状況などの報告を求める「外来機能報告制度」も創設する。
医政局所管分の21年度予算案では、いわゆる三位一体改革の実現のため、「地域医療構想の実現に向けた取り組みの推進」で856億円、「医師の地域間・診療科間偏在の解消など医師偏在対策の推進」で16億円、「医師・医療従事者の働き方改革の推進」で125億円をそれぞれ確保。新型コロナウイルス感染症への対応では、医療提供体制の整備や医療機関への支援が切れ目なく行われるよう、15カ月予算の考えに沿って、20年度第3次補正予算に1276億円、21年度当初予算に585億円を計上した。
新興感染症対応の医療計画への追加について、相澤孝夫委員(日本病院会会長)は、重症度別の受入病床数や、感染症対応と一般医療、救急医療とのバランスなどについて、医療計画策定時の参考になるような目安を国が示す必要性を指摘。医師の働き方改革では今村聡委員(日本医師会副会長)が、「医療機関に努力させるだけでなく、丁寧な議論と現場の進捗をしっかり確認しながら運用していくことをお願いしたい」と厚労省に要請した。