中央社会保険医療協議会総会は2月10日、次期診療報酬改定の議論の基礎資料となる医療経済実態調査の調査要綱と調査票を了承した。懸案だった単月調査の実施の是非については、春頃の総会で改めて議論する方針を確認した。調査結果の総会への報告は、11月中旬となる見通し。
医療経済実態調査のうち、一定の抽出率で選定した医療機関、薬局を対象に行う医療機関等調査は、2021年3月末までに終了する直近2事業年の損益状況について回答を求める。今回は、コロナ禍という特殊な事情を考慮し、調査項目について、▶収益の内訳に新型コロナ関連の補助金に関する項目を追加、▶感染患者の受け入れ有無や、重点医療機関などの指定の有無に関する項目を追加、▶負債の項目に長期借入金を追加―などの見直しを実施。新型コロナウイルス感染症の医療機関経営への影響を把握するための工夫をした。
単月調査は21年6月までの間の新型コロナの影響が比較的少ない月を選び、前年および、前々年の同月を含む3カ年の単月の損益状況を把握。これにより、20年度改定前の状況(19年)、改定後の新型コロナの影響がある時期(20年)、新型コロナの影響が少ない時期(21年)の比較分析が可能になるとしている。調査項目は、回答する医療機関、薬局の負担に配慮して極力少なくし、簡素化を図った。実施をするか否かの最終判断は、春頃を目処に、その時点の感染動向や医療機関の逼迫状況などを踏まえ、改めて総会で議論・決定する。
一方、同日の総会は、次期改定に向けて保険導入を検討する医療技術の評価方法も了承。前回改定時の対応から変更はなく、関係学会から提案書が提出された新規技術や、先進医療としてすでに実施されている既存技術を、診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会で評価し、結果を中医協総会に報告する。2月中旬を目処に、学会からの提案書の受付を開始する予定(締め切りは6月上旬)。