新型コロナウイルス感染症への対応で、外来・在宅で1回5点、入院で1日10点を加算できる特例が2021年4月から始まるのに先立ち、厚生労働省は2月26日付で運用などを示す事務連絡を発出した。乳幼児の外来診療や新型コロナから回復した患者の転院受け入れに関する既存の特例の4月以降の取扱いも記載した。
乳幼児の外来診療では成人の場合以上に手厚い感染予防策が求められることや、新型コロナから回復した患者の転院支援を理由に、昨年12月から①6歳未満の乳幼児の外来診療では、小児科の標榜の有無や初・再診を問わず、患者ごとに100点を算定、②新型コロナからの回復後も入院管理が必要な患者を受け入れた場合は「二類感染症患者入院診療加算」の評価を3倍の750点に引き上げる―といった特例が実施されている。
今回の事務連絡はこれら特例の4月以降の取扱いについて、①は9月診療分まで、②は当面の間、継続すると明記した。このうち①は、昨年末の21年度予算編成過程で、21年10月から22年3月までは規模を縮小して継続する方針が確認されている。
一方、4月から新たに始まる基本診療料への加算で、外来診療と在宅医療では、初診料、再診料(電話再診を除く)、(小児)外来診療料、外来リハビリテーション診療料、(認知症)地域包括診療料、在宅患者訪問診療料(I)、(II)などを算定する場合に、「医科外来等感染症対策実施加算」として、1回5点を上乗せできることを示した。入院は、算定する入院料に関係なく、「入院感染症対策実施加算」として、1日10点を算定。訪問看護は、「(精神科)訪問看護基本療養費」を算定する場合に、30回の算定につき「訪問看護感染症対策実施加算」として1500円を算定する。
各加算を算定するには、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」などを参考に、▶状況に応じて飛沫予防策や接触予防を適切に行う等、感染防止に十分配慮して患者や利用者への診療を実施、▶新型コロナの感染予防策に関する職員への周知を実施、▶病室や施設等の運用について、感染防止に資するよう変更等の検討を実施―といった感染予防策を講じていることが要件として求められる。
また、6歳未満の乳幼児の外来診療の場合は、それぞれの要件を満たしていれば、乳幼児を対象とした特例の100点と、「医科外来等感染症対策実施加算」(5点)の併算定が可能。ただし、新型コロナの特例として認められている電話やICTによる診療の場合は、「医科外来等感染症対策実施加算」を算定できない。感染症対策実施加算の算定期間は21年9月診療分までとする。