政府は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)に発令していた緊急事態宣言を3月21日で解除した。1都3県を含めた宣言の全面解除に当たり、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は3月18日の会合で、①飲食の感染対策、②変異株対策の強化、③モニタリング検査など感染拡大防止策の強化、④ワクチン接種の着実な推進、⑤医療提供体制の充実─の5つの取り組みを国・自治体で進める方針を決めた。
18日の記者会見で菅義偉首相は、5つの取り組みのうち変異株対策について現在10%程度のスクリーニング検査の抽出割合を「40%程度」に引き上げるとし、ワクチンについては「6月末までに少なくとも1億回分が確保できる」との見通しを示した。
会見に同席した諮問委員会の尾身茂会長(地域医療機能推進機構理事長)は、今後の対策について「今までの延長線上にはない対策を打つこと」が重要との認識を示し、感染の再拡大が起きそうなときに急ブレーキをかけられるように「サーキットブレーカー」の仕組みを導入すべきと指摘。「一番重要なことは、どのような状況になったらいわゆるハンマーを打つのか、サーキットブレーキについて国と自治体が共通の認識を持つことが必要だ。私たちも早速専門家と準備をしたい」と述べた。
尾身会長はまた、「今、首都圏では感染のクラスターが多様化している。モニタリング検査や深掘検査をしていくと、(飲食の場以外に)クラスターの元、感染源がある可能性がある。飲食だけではなく、新たな感染の源があればそれに対する対応を打つことも、まん防(=まん延防止等重点措置)の対策の一部に入れていく必要が出てくる可能性はある」と述べ、飲食のみに絞った感染対策ではリバウンドは防げないとの考えを示唆した。