ソチ五輪での日本選手団の活躍が大きく報道された。41歳の“レジェンド”は腰痛をコントロールしながら見事に銀メダルを獲得した。一方,ロシアの“皇帝”は腰痛のため演技を棄権し,日本の19歳への世代交代を確信させた。スポーツ選手に腰痛はつきものであり,アスリートに腰痛の多いことは明らかにされている。過度のスポーツ活動は確かに身体に悪いが,適度な運動は腰痛予防にもなる。運動も薬と同じように,正しい診断に基づいた適切な処方量が大切である。
腰痛はアスリートだけに発症するわけではなく,病院受診の理由の常に上位にある。それにもかかわらず,85%の腰痛は原因がはっきりしない非特異的腰痛である。頭痛で受診しても診断名に“頭痛症”という病名が書かれることはないが,整形外科のカルテには頻回に“腰痛症”と記載される。頭痛はその病態により処方される薬が異なるため,たとえ画像に特異的な所見が認められなくても,病歴や症状の特徴から病態を推定し,その病態に合った薬が処方される。画像所見で何ら異常のみられない非特異的腰痛に対しては,消炎鎮痛薬と経過観察によってどのような病態でもある程度は良くなってしまうため,面倒な機能的診察で病態を推定する必要がないのかもしれない。
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