リハビリテーション医学・医療の目的は疾病や外傷により低下した身体的・精神的機能を回復させ,障害を克服し活動の賦活化を図ることである。
医療機能の分化・連携体制が推進され「病気になっても職場や地域生活へ早期復帰させ,医療や介護が必要になっても,住み慣れた地域での暮らしを継続させる」という方向性が示された。地域での生活を支える医療の充実や医療・介護サービスのネットワークの構築が推進されている。生活期におけるリハビリテーション医療の対象となる疾患や障害は必ずしも急性発症の疾患・外傷などのように急性期~回復期~生活期と移行してゆくものばかりではない。地域に暮らす高齢者,脳性麻痺などの障害児(者),先天性疾患,難病,悪性腫瘍など様々な障害を呈する多様な疾患も対象としている。
①医療機関から退院した場合などは退院後にスムーズに在宅生活に移行させ,その後の在宅生活を安定させるための支援を行う。
②在宅生活を過ごしている人に対しては,生活機能の維持や向上が図られているのかについてモニタリング(適切な診断や評価)を行い,生活機能の低下やそのリスクなどの問題がある場合には必要に応じてリハビリテーション治療などのアプローチを行う。
③その人らしい生活の再構築を援助し,障害を持ちながらの生活への適応を促す。地域環境(地域での支援事業など)ともマッチングさせ,QOLを支援する。
④本人や家族の希望に即して介護期・終末期における対応を行い,人としての尊厳を全うすることを援助する。
等の機能が考えられている。
高齢者や特定疾病患者においては主に介護保険により提供される。介護保険の対象とならない障害児・障害者には医療保険により提供される。介護保険においては介護療養型医療施設・介護老人保健施設における施設サービス,通所リハビリテーション,居宅サービス(訪問リハビリテーション,訪問看護によるリハビリテーション)などが行われる。医療保険においては外来での医師の診療やリハビリテーション治療,一部の訪問リハビリテーションなどが行われる。障害の状態や時期に応じて,どのようなシステムを利用するのか適宜適切な判断のもとに提供される。
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