推計約550万人のデメンチア患者の早期診断・早期対応は必須である。デメンチアが疑われる場合,多くの患者や家族はまずどこに相談すればよいのかわからず「身近なかかりつけ医」を受診することが多い。しかし,一般にデメンチア診療は煩わしく時間を要することから敬遠され,専門医療機関へご高診という形で丸投げされることが多い。一方,専門医数は日本認知症学会と日本老年精神医学会を合わせて延べ2000名弱と少なく,現場は押し寄せる患者で疲弊しており,受診待機時間も数カ月と長いことがある。これでは早期診断・早期対応に応えられず,必要なサービス利用も遅れる。
そこで,「身近なかかりつけ医」にデメンチアが疑われる患者が受診した際に,待ち時間中に問診票をチェックするだけで,従来型のようなデメンチアに関する症状の有無の評価だけでなく,原因疾患別にスクリーニングが迅速に行える問診票を作成した(船橋市医師会HP1)より入手可能)2)。この問診票を確認するだけで,物忘れが疑わしい患者が診察室に入室した時点で,既にデメンチアの原因疾患まで頭に浮かべることが可能となる。煩わしかったり時間を要すると思われがちなデメンチア診療を安心して自信を持って,スピーディーに行えることになる。
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