厚生労働省は6月16日の診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」に、2020年度診療報酬改定の入院医療への影響に関する調査結果の速報(その2)を報告した。新型コロナウイルス感染患者の受入状況別の分析で、「急性期一般入院基本料」の算定施設では、感染患者を受け入れている場合のほうが受け入れていない場合に比べて「重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)」の該当患者割合が低いことなどがわかった。
3月の分科会に報告された「速報(その1)」では、コロナ患者受入施設に職員自身が感染あるいは濃厚接触者となって出勤できなくなっている施設などが含まれていたが、「速報(その2)」では、定義を変更。感染患者の受け入れ実績がある施設のみを対象として、分析を行なった。
分析結果で「急性期一般入院基本料」における「看護必要度」の届出状況をみると、診療実績データ(DPCデータ)を用いる看護必要度IIの届出割合は、「入院料1」が58.4%、「入院料2」は68.9%と、1~2割程度だった前回調査時(18年度)から大きく伸びた。改定前後の該当患者割合を比較すると、看護必要度Iで大きな差は認められなかったが、看護必要度IIは「入院料5」以外の全ての入院料で、改定後に該当患者割合が上昇していた。
該当患者割合を新型コロナ患者の受入有無別で比較分析すると、看護必要度Iの場合は「入院料1、4、5」で、受入施設のほうが非受入施設よりも低かった。看護必要度IIも同様に、データが取れた「入院料1、2、4」で受入施設のほうが低い結果となった。また、該当患者の判定基準別の内訳では、3つある基準のうち「C項目1点以上」については、看護必要度I、IIとも、受入施設のほうが基準を満たす患者の割合が低くなった。
看護必要度のC項目は手術や高度な検査の実績を評価する項目であり、20年度改定では、許可病床数400床以上の病院で看護必要度IIによる判定が要件化されている。こうした背景を踏まえると、今回の調査結果から、許可病床数400床以上の病院では、手術や検査の実施数を減らして、感染患者を受け入れていることが推察される。
調査では、コロナ回復後患者の受け入れ状況も把握した。それによると、「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料1、2」では5割前後、「回復期リハビリテーション病棟入院料1、2」では約6割の病棟が回復後患者を受け入れていた。