オキシドール(3%の過酸化水素水)とヒアルロン酸ナトリウムの混合液を,放射線治療の直前に腫瘍に直接注入する,KORTUC(Kochi oxydol-radiosensitization treatment for unresectable carcinomas)は,単純な放射線増感法である。その基礎としては,ヒト末梢血リンパ球の放射線高感受性をモデルとしている。種々の放射線抵抗性腫瘍に対して,細胞内の抗酸化酵素ペルオキシダーゼ/カタラーゼを失活させて酸素を発生させれば,ほとんどすべての癌を放射線高感受性に変換できるという筆者らの仮説とその後の実験的検証に基づいている1)。
臨床応用の最初の型(KORTUCⅠ)は,皮膚表面に露出して出血を伴うような表在性の局所進行癌に対して,放射線治療時にオキシドールを浸したガーゼで病巣を被覆し,放射線治療を行う方法である。
しかし,ある程度厚みのある癌病巣に対しては,やはり癌病巣全体にオキシドールの効果を行きわたらせるために,オキシドールの腫瘍内への局注が必要である。したがって,組織の抗酸化酵素ペルオキシダーゼ/カタラーゼによる過酸化水素の迅速な分解・拡散を遅らせるとともに局所の疼痛を緩和する目的でヒアルロン酸ナトリウムを混和して用いることとした(KORTUCⅡ~Ⅴ)。
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