出生体重2500g未満の新生児のことを低出生体重児と呼ぶ。さらに,出生体重1500g未満の児を極低出生体重児,出生体重1000g未満の児を超低出生体重児と呼ぶ。わが国での低出生体重児の出生率は,全出生のうちの10%(年間約10万人)に上る。低出生体重児は,正体重児(2500g以上3500g未満)に比べて,急性期に呼吸・循環・栄養摂取・血糖調節・黄疸などの面で適応障害をきたすことが多く,長期的にも発達・発育上のリスクを有する。
出生時の体重測定で診断できるが,在胎週数をふまえたリスク評価が重要である。つまり,早産か否か,SGA(small-for-gestational-age。体重・身長ともに週数に比して10パーセンタイル未満)またはlight-for-gestational-age(体重は週数に比して10パーセンタイル未満であるが,身長は10パーセンタイル以上)か否かをまず把握する。日本小児内分泌学会がweb提供しているExcelファイル(http://jspe.umin.jp/medical/keisan.html)も有用である。
低出生体重児の病態は多岐にわたる。最重要の臨床情報は在胎週数・出生体重であるが,母体情報(年齢,基礎疾患など)や周産期歴(切迫流早産,前期破水,妊娠高血圧症候群,母体感染,絨毛膜羊膜炎,羊水過多・羊水過小,前置胎盤,多胎妊娠,常位胎盤早期剝離,母体へのベタメタゾン投与の有無など1))を出生前に可能な限り把握して,診療計画をたてるのが望ましい。
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