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患者さんからの質問に自信を持って答える 不妊治療Q&A【電子版付】

多くの医療機関に共通する標準治療をニュートラルにまとめた1冊

定価:4,950円
(本体4,500円+税)

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編著: 片桐由起子(東邦大学大学院医学研究科産科婦人科学/東邦大学医学部産科婦人科学講座 教授)
判型: B5判
頁数: 248頁
装丁: 2色部分カラー
発行日: 2023年03月07日
ISBN: 978-4-7849-2461-5
版数: 第1版
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)。

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●本書は、臨床現場で患者さんからいただく様々な質問に対して、具体的・平易に答える回答例と、最新のエビデンス・ガイドライン等に基づく解説をまとめたQ&A集です。
●多くの医療機関に共通する標準治療を、わかりやすく・丁寧に・ニュートラルに解説しています。
●患者さんの気持ちに寄り添い、不安を取り除く説明の仕方を習得できます。
●不妊治療に携わる医師・医療従事者はもちろん、不妊検査・治療をご検討中の患者さん、すでに治療中の患者さんにもぜひ手に取っていただきたい1冊です。

診療科: 産科 産科
  婦人科 婦人科

目次

第1章 不妊治療に対する不安
①女性の不安
Q1 私は不妊治療を受けるべきですか? 受けてもいいのでしょうか?
Q2 不妊治療は精神的・身体的負担が大きいと聞きます。実際どのような負担がありますか? 仕事をしながらでも治療できるものでしょうか?
Q3 検査をしても不妊原因が見つかりませんでした。でもタイミング法・人工授精を行っても妊娠せず生殖補助医療(ART)を勧められました。ARTを行ったほうがいいでしょうか?

②男性の不安
Q1 不妊治療に男性が積極的に協力してくれません。どうしたら,協力が得られるようになりますか?
Q2 精液所見の異常を指摘されました。男性として何かできることはありますか?

第2章 不妊検査
①女性の検査
Q1 不妊外来ではどのような検査が行われますか?
Q2 子宮卵管造影検査はやらないといけませんか?

②男性の検査(疫学・男性への治療含む)
Q1 男性不妊の割合と原因を教えてください。
Q2 男性不妊の検査にはどのようなものがありますか?
Q3 男性不妊の治療にはどのようなものがありますか?

第3章 一般不妊治療
①タイミング法
Q1 タイミング法とはどのような治療ですか?

②人工授精
Q1 人工授精とはどのような治療ですか?

③排卵誘発・黄体補充
Q1 排卵誘発はどのようなときに行ったほうがいいですか?
Q2 排卵誘発にはどのような種類・方法がありますか?
Q3 排卵誘発にはどのようなリスクがありますか?
Q4 黄体機能不全とは何ですか?
Q5 黄体補充療法は必要ですか?

第4章 生殖補助医療
①卵巣刺激
Q1 卵子はどのようにつくられているのですか?
Q2 卵胞を発育・成熟させるためにはどのような薬を使うのですか?
Q3 体外受精では,採卵のためにどのような方法で卵胞を育てるのですか?
Q4 卵巣刺激はどのように選択するのでしょうか?
Q5 卵巣刺激の副作用にはどのようなものがありますか?

②体外受精・顕微授精・TESE
Q1 体外受精と顕微授精の違いは何ですか?
Q2 体外受精・顕微授精はどのような人に有効な治療法でしょうか?
Q3 TESEとはどのような治療でしょうか?またその適応は?

③胚移植
Q1 胚移植の手技はどのように行うのですか?
Q2 新鮮胚移植と凍結融解胚移植ではどちらが有効ですか?
Q3 新鮮胚移植後の黄体補充は必要ですか?
Q4 凍結融解胚移植における自然排卵周期とホルモン補充周期ではどちらが有効ですか?

第5章 不育症・習慣流産
Q1 2回の流産を経験しましたが,不育症でしょうか?
Q2 不育症と診断されました。原因を調べるにはどのような検査がありますか?
Q3 抗リン脂質抗体症候群と診断されました。治療が必要ですか?
Q4 不育症の検査で血栓性素因がみつかりました。治療が必要でしょうか?
Q5 不育症の精査で自費で受けられる検査はありますか?
Q6 不育症の検査で先天性の子宮奇形があると言われました。どうすればいいでしょうか?
Q7 流産を繰り返しています。夫婦染色体検査は受けたほうがいいのでしょうか?
Q8 2回目の流産です。流産絨毛染色体検査を受けたほうがいいのでしょうか?
Q9 不育症の検査結果で潜在性甲状腺機能低下症と言われました。治療が必要でしょうか?
Q10 不育症の検査をしましたが,原因がわかりませんでした。どうしたらいいですか?

第6章 PGT-A(着床前遺伝学的検査)
Q1 PGT-Aという診断法があると聞きました。どのような診断法なのでしょうか?
Q2 PGT-Aで5個の受精卵のうち4個に染色体異常が出ました。流産しやすい体質なのでしょうか?
Q3 PGT-Aの結果,「モザイク」と言われました。モザイクとはどういう状態で,移植をしても大丈夫なのでしょうか?
Q4 モザイク胚の移植を考えています。どのようなモザイク胚であれば移植してもいいのでしょうか? また,その場合,羊水染色体検査は必要でしょうか?
Q5 「PGT-Aの結果は100%正しいとは言えない」のは,なぜですか?
Q6 初めての体外受精ですが,妊娠率を上げるためにPGT-Aを考えたほうがいいのでしょうか?
Q7 生検をして,数が少なくなった受精卵を移植しても,赤ちゃんに異常が多くなったり,妊娠経過が異常になったりすることはないのでしょうか?

第7章 治療のやめどき・家族を迎える選択肢
Q1 不妊治療のやめどきについて教えてください。
Q2 不妊治療以外で子どもを家庭に迎える方法について教えてください。
Q3 治療終結と里親制度・特別養子縁組制度の情報はどのように提供されるべきか教えてください。

索 引

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序文

 子を持ちたい、子を授かりたいと思いながら一定期間妊娠しないカップルを不妊症と言いますが、厚生労働省の調査によると、日本では、不妊を心配したことがあるご夫婦は約2.9組に1組の割合であり、ご夫婦全体の35.0%に及んでいます。また、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある、あるいは現在受けているご夫婦は約5.5組に1組の割合で、ご夫婦全体の18.2%を占めています。
 日本で初めて体外受精によって子が生まれたのは1983年でしたが、以来これら生殖補助医療と呼ばれる不妊治療は目覚ましい発展を遂げ、自由診療として妊娠を望むご夫婦に技術提供されてきました。日本では、生殖補助医療は日本産科婦人科学会からの施設認定のもとに行われていますが、その医療機関数は600件を超えており、タイミング指導や人工授精までを提供している医療機関も合わせると、その数はさらに増加します。医療機関数が多いことは、不妊について相談したり検査を受けたりしたいと思うご夫婦が、医療機関を受診しやすい一方で、どの医療機関を受診したらよいか迷いが生じる可能性もあります。
 2022年4月から、生殖補助医療も保険適用になり、各医療機関で提供される医療技術と医療費用の均霑化が図られました。しかしすべての検査や治療が保険適用になったわけではなく、先進医療として、あるいは従来の自由診療として提供され続けている医療もあります。また、各医療機関がそれぞれに必要であると判断している検査項目を、プレコンセプション検査等の名称で、不妊検査や治療に先立ち自由診療による検査として提供している場合もあります。
 本書は、様々な医療機関のお取り組み等に偏ることなく、ニュートラルに、基本に忠実に編纂いたしました。「不妊治療について知らなさすぎて、医療機関を受診する勇気が出ない」というご夫婦や、すでに不妊治療を受けていらっしゃるご夫婦が、「今さら聞きにくい」というような基本的な内容をわかりやすくQ&Aの形式で解説することに努めました。これから不妊検査や治療を受けようかどうしようかとご検討中の方々、すでに治療中の方々、そして不妊治療専門医療機関へ患者さんを送り出すかかりつけ医の先生方、みなさま方のお役に立てる1冊となれば大変うれしく存じます。

2023年2月

東邦大学大学院医学研究科産科婦人科学/
東邦大学医学部産科婦人科学講座 教授
片桐由起子

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レビュー

【書評】患者さんからの質問に自信を持って答える 不妊治療Q&A

森本義晴(IVF JAPAN CEO,世界体外受精学会President)
英国のステプトー博士とエドワーズ教授によって1978年に体外受精胚移植法が開発,臨床応用されて以来,不妊治療は大きく変革し,治療効率も以前と比較にならないほど改善している。

一方,治療内容は多岐にわたり,複雑化・専門化しており,素人の患者が医師の説明内容を理解し最適な治療法を選択することは容易ではない。通常,診療現場では医師は多忙を極めているため,患者から質問して治療内容を十分に理解することは困難である。また,専門用語が氾濫していることも患者を悩ませ,不安にさせる原因となっている。しかし,患者が医師の提示する治療法の内容を正確に理解してこそ,双方が納得のできる治療が可能となる。

このたび,片桐由起子教授が編者となって上梓された本書は,不妊治療の内容がきわめて平易にQ&A形式で記されており,不妊治療に詳しくない患者や専門外の医師にとって理解しやすい内容となっている。

また,一般不妊治療から高度生殖医療まで広い範囲をカバーしており,それぞれのテーマは長年にわたる片桐教授の生殖医療分野における豊富な経験と実績をもとに書かれており,学問的にも臨床的にも有用性が高い。特に,片桐教授の専門領域である不育症や遺伝子検査に関しては,患者にとって理解の困難な部分であるが,それぞれの内容が丁寧にわかりやすく記述されている。

さらには,充実した純医学的内容に加えて,書籍全体に貫かれている,患者に寄り添った女性医師としてのきめ細やかな視点からの社会学的記述は他の書籍にみられない特徴である。また,冒頭に掲載された写真は解像度も高く良質である。

また,本書を補う電子版にアクセスが可能なことも読者にとっては嬉しいことである。総合的にみて本書は,多くの読者の不妊治療の補助にきわめて有用性が高いと思われる。

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