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【一週一話】良い睡眠は認知症予防に役立つか?

No.4775 (2015年10月31日発行) P.53

浦上克哉 (鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-09

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  • 近年,睡眠と認知症が関連するという報告が多くなされるようになってきた。30分の昼寝が認知症の発症を抑え,逆に1時間以上昼寝をすると認知症になりやすくなるという報告がなされ,注目を集めたが,その理由はわかっていなかった。

    認知症の約6割を占めるとされるアルツハイマー型認知症では,脳内にアミロイドβ蛋白が蓄積して起こることが知られている。しかし,最近の研究から,このアミロイドβ蛋白は昼間に産生されて,夜間の睡眠中に分解されているということがわかってきた。睡眠をとらず徹夜をしたグループは,普通に睡眠をとったグループと比較して髄液中アミロイドβ蛋白の量が6%多いことも報告されている。十分な睡眠がとれないと,日々少しずつアミロイドβ蛋白が蓄積し,認知症になりやすくなると推測される。

    また,記憶の定着に睡眠が重要であることもわかった。睡眠した群の質問正解率が85%であったのに対して,睡眠しなかった群の正解率は60%と低く,近時記憶を定着させるためには睡眠が重要なことを示唆している。せっかく覚えても,睡眠をとらないと忘れてしまうと考えられる。

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