菅義偉首相は8月17日、緊急事態宣言の対象拡大(7府県追加)・期間延長(9月12日まで)決定後の記者会見で、軽症~中等症の新型コロナ感染症患者に使用する中和抗体薬「ロナプリーブ点滴静注セット」(一般名:カシリビマブ・イムデビマブ)について「極めて効果が高い」と強い期待感を示し、不安視されている供給量について「十分な量を確保している」と明言した。
中和抗体薬について菅首相は、政府として医療機関のほか宿泊療養施設などでも投与可能にしたこと、これまでに「約1000病院で約4000人」に投与されたことを説明。
「現場からは、中和抗体薬により多くの患者がはっきりと快方に向かい、退院されていったとの話を伺っている」「私も極めて効果が高いと思っている」などと述べ、重症化を防ぐため50代以上や基礎疾患のある患者に集中的に使用していく考えを示した。
医療機関が配分依頼をしてから薬が届くまでタイムラグがあるなど運用上の問題については「当初は申込があってから届くまで3日かかっていた。そうしたものをすべてやめさせた。必要なところには事前に届いており、その中から使える仕組みに切り替えている。(注文に対しても)次の日には必ず届ける体制を取っている」と、運用を大きく見直したことを強調した。
供給量への懸念についても「私が指示して十分な量を確保している」とし、「東京は百数十カ所の拠点でこのカクテル療法(=中和抗体薬)を使っていくことになっている」と述べた。
中和抗体薬ロナプリーブの供給について厚生労働省は、自治体向けのQ&A(質疑応答集)の中で、「供給量が限られている」ため「新型コロナ感染症患者の入院に備えた在庫や必要以上の配分依頼は控える」よう要請している。
同省は、菅首相の記者会見の翌日(18日)、供給量には限りがあるとのこれまでの見解を維持しつつ、「緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置地域を中心に、各都道府県が選定し連絡をいただいた医療機関に対し、あらかじめ一定数の在庫を配布する取り組みを実施している」との文言を追加する修正を行い、在庫を認めない方針を一部緩和したことを事務連絡で周知した。
【関連情報】
中和抗体薬(カシリビマブ・イムデビマブ)に関する質疑応答集(Q&A) (7月20日付厚生労働省事務連絡(8月13日、8月18日一部改正))