厚生労働省は8月31日、2022年度の予算概算要求を財務省に提出した。一般会計の総額は33兆9450億円となり、21年度当初予算比で8070億円増加。高齢化などに伴う自然増分は6600億円を計上した。診療報酬と薬価の改定、不妊治療の保険適応への対応、新型コロナウイルス感染症関係の事項要求などは、年末の予算編成課程で検討する。
一般会計のうち、年金・医療などの経費は31兆7791億円(前年度比6738億円増)、新たな成長推進枠は2228億円となった。医療・介護関係では、「新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえた柔軟で強靱な保健・医療・介護の構築」を目標に掲げ、その実現のための施策の柱に、①新型コロナを克服する保健・医療等提供体制の確保、②地域包括ケアシステムの構築等、③予防・重症化予防・健康づくりやデータヘルス改革、④がん・循環器病・肝炎・難病対策等の推進―などを据えた。
①では新型コロナから国民を守る医療等提供体制を確保するための経費として、前年度から予算額を倍増させ、56億円を要求。新興感染症等の感染拡大時に対応可能な医療支援チームの創設(8.8億円)や、医療用物資等の確保・備蓄等の推進(5.1億円)―などに充てる。
②では、地域医療構想の実現に向けた病院の再編・統合や、医師の労務環境改善を支援する「地域医療介護総合確保基金」(医療分)に、前年度と同額の851億円を計上した。医師の働き方改革では、▶勤務医等を対象とした働き方改革周知・啓発(6500万円)、▶追加的健康確保措置の実施体制整備(3.7億円)、▶医師の働き方改革にかかる地域医療への影響等に関する調査(1.8億円)―などの新規事業を行うための経費を要求した。介護関係では、▶介護職員の処遇改善の促進(509億円)、▶介護分野における生産性の向上(16億円)、▶科学的介護の実現に資する取組の推進(13億円)―などを盛り込んだ。
③では、医療保険者によるデータ分析に基づく保健事業を進める観点から、▶レセプト・健康情報等の分析に基づいた保健事業等の推進(8.6億円)、▶40歳未満の事業主健診情報の活用に向けたシステム改修の支援(6.3億円)―などを要求した。