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■NEWS 20年度概算医療費、新型コロナで3.2%減少、減少幅は過去最大

No.5082 (2021年09月18日発行) P.70

登録日: 2021-09-07

最終更新日: 2021-09-07

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厚生労働省は831日、2020年度の医療費の動向を公表した。それによると、20年度の医療費は前年度比3.2%減の42.2兆円となったことがわかった。医療費の伸びがマイナスになるのは16年度以来4年振りで、減少幅は過去最大。新型コロナウイルスの感染拡大による受診控えなどが影響しており、診療所の主たる診療科別では、小児科や耳鼻咽喉科で前年度比23割の大幅な減少となった。

今回公表された「概算医療費」の年計は、労災・全額自費などの費用を含まず、国民医療費の約98%に相当する。集計結果をみると、20年度の概算医療費は42.2兆円で、前年度に比べて約1.4兆円(3.2%)減少した。このうち医療保険適用の医療費は、75歳未満が23.5兆円(前年度比3.7%減)、75歳以上が16.6兆円(2.4%減)。特に未就学者での落ち込みが目立ち、前年度比は19.1%の大幅減となった。休日数などの影響を補正した後の医療費総額の伸び率は3.9%減となり、減少幅がさらに拡大する。

診療種類別の概算医療費は、入院17.0兆円(3.4%減)、入院外14.2兆円(4.4%減)、調剤7.5兆円(2.7%減)などとなった。医療機関を受診した延患者数に相当する受診延日数の伸び率は、入院5.8%減、入院外10.1%減、調剤9.3%減で、入院外の減少幅は2桁となった。このことから、入院外では新型コロナの感染拡大に伴う患者の減少が、医療費減少の主要因であることが示唆された。1日当たり医療費の伸び率は、入院2.6%増、入院外6.4%増、調剤7.3%増となった。

■診療所の前年度比、小児科31.5%減、耳鼻咽喉科24.4%減

医療機関種類別でみた概算医療費の伸び率は、病院3.3%減、診療所5.3%減、保険薬局2.7%減と、病院よりも診療所の影響が大きい。診療所の主たる診療科別の伸び率で最も減少幅が大きいのは小児科の22.2%減で、これに耳鼻咽喉科の19.5%減、外科の11.5%減が続く。受診延日数の伸び率は、病院7.7%減、診療所10.2%減、保険薬局9.3%減。診療所の主たる診療科別では、小児科31.5%減、耳鼻咽喉科24.4%減、外科15.4%減などとなり、やはり小児科における患者数の減少が顕著。

1施設当たりの概算医療費の伸び率は、病院2.7%減、診療所5.3%減、保険薬局3.6%減となった。診療所の主たる診療科別では、小児科(21.1%減)、耳鼻咽喉科(19.2%減)に続き、内科(4.8%減)の減少幅が大きい。受診延日数の伸び率は、病院7.2%減、診療所10.2%減、保険薬局10.1%減。診療所の主たる診療科別では、小児科30.5%減、耳鼻咽喉科24.1%減、内科10.6%減などとなった。

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