診療報酬調査専門組織の入院医療等の調査・評価分科会は9月8日、2022年度診療報酬改定に関するこれまでの議論を整理した、中間とりまとめ案を大筋で了承した。分科会長預かりで修文をした後、近く開催予定の中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会に報告する。
中間とりまとめ案は、①一般病棟入院基本料について、②特定集中治療室管理料等について、③地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料について、④回復期リハビリテーション病棟入院料について、⑤療養病棟入院基本料について、⑥救急医療管理加算について―など、11項目で構成される。
①では、「急性期一般入院料1」の届出施設の7割以上が何らかの治療室の届出をしており、これら施設は治療室の届出がない施設に比べて、救急搬送の受入件数や、年間手術件数が多い傾向がみられたことを示した。②では、ECMOや血液浄化、臓器移植などを受けた患者で、特定集中治療室(ICU)等の滞在日数が「特定集中治療室管理料」等の算定上限日数を超えるケースがあったことを記載。医療の高度化に伴って、治療室滞在日数が長期化している実態を踏まえ、算定上限日数のあり方の検討を求める意見があったことを紹介した。
③では、地域包括ケア病棟の患者の入棟元について、自院の一般病棟からの入棟が大部分を占めるケースや、自宅等からの入棟がまったくない、あるいは自宅等のみからの入棟しかないケースがあることに言及。地域包括ケア病棟が本来担う3つの機能(ポスト・サブアキュート、在宅復帰支援)の一部しか担っていないこれら病棟について、他の地域包括ケア病棟と区別して新たな要件を設定することも念頭に、さらに分析が必要との指摘があったことを紹介した。④では、「回復期リハビリテーション病棟入院料」の入院患者要件に、心大血管疾患リハビリテーションの対象患者を追加するよう求める意見があったことを記載した。
⑤では、中心静脈カテーテルについて、20年度改定で患者・家族等への説明が挿入時の要件に追加されたことにより、約1割の施設で対象患者が変化。その内容では「中心静脈栄養以外が選択されるようになった」が最多であったことを記載した。
⑥では、「救急医療管理加算1」の算定患者で状態指標が軽症に該当する者が、20年度改定後は減少し、算定要件見直しの効果が確認されたことを示した。これに加えて、委員からは、状態が刻々と変化する救急患者を入院時の状態指標だけで評価するのは困難との意見や、臨床現場での算定が簡便となるような基準の定量化に努めるべきとの意見があったことも記載した。
この日も、「救急医療管理加算」の算定対象患者の基準について、議論があった。津留英智委員(全日本病院協会常任理事)は、同加算の最大の問題は、算定対象患者の基準が依然として曖昧であるために、都道府県によって審査支払機関の判断基準に差異が生じている点にあると指摘。査定されることを危惧し、本来は「加算1」を算定すべきところを敢えて「加算2」を算定しているケースもあると述べ、改善の必要性を訴えた。
これに、井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)は、審査支払機関の立場から発言。前回改定で入院3日以内の主な診療行為をレセプトに記載する見直しが行われたことで再審査請求が減少したと説明し、審査基準の都道府県差異に関しては、国民健康保険団体連合会とともに解消に向けた努力を重ねていることを明らかにした。