中央社会保険医療協議会総会は9月15日、今月末で終了予定だった2020年度診療報酬改定の経過措置などの適用期限について、新型コロナウイルス患者受入の重点医療機関、協力医療機関および、患者受入病床を割り当てられた医療機関に限り、22年3月末まで延長することを決めた。そのほかの医療機関は予定通り今月末で終了する。
20年度の診療報酬改定項目のうち、▶「急性期一般入院基本料」などにおける「重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)」の該当患者割合の引き上げ、▶「回復期リハビリテーション病棟入院料1、3」のリハビリテーション実績指数の水準引き上げ、▶「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料」における診療実績の水準引き上げ―などについては、新型コロナの医療機関への影響を考慮し、当初は20年9月末までだった期限が、21年9月末まで延長されている。
一方、施設基準等で直近1年間の実績が一定数以上であることが求められる、▶「地域医療体制確保加算」における救急搬送受入件数、▶処置・手術等の時間外加算における手術等の件数、▶腹腔鏡下胃切除術などの個別処置、手術等―などについては、21年9月末までの間は、基準を満たすかどうかの判定に19年度実績を用いてよい特例が設けられている(新型コロナ病床を割り当てられている医療機関の適用期限は22年3月末)。
新型コロナ感染拡大下での実態を把握する目的で、これら特例の適用を受ける医療機関には、実績の報告が求められている。その6月末までの集計結果をみると、20年度改定後の施設基準要件(看護必要度の該当患者割合など)を満たせないと報告した病院は161施設(全病院の1.9%)で、内訳は、新型コロナ患者受入の重点医療機関37施設、協力医療機関31施設、患者受入病床の割り当て医療機関17施設、患者の受入実績や受入医療機関に職員を派遣した医療機関等35施設、いずれにも該当しない医療機関41施設―などとなっている。
また、年間実績要件が満たせないと報告した病院は全病院の0.8%に相当する67施設で、内訳は重点医療機関39施設、協力医療機関6施設、病床割り当て医療機関7施設、患者の受入実績がある医療機関等14施設、いずれにも該当しない医療機関1施設―などだった。
どちらの特例も対象病院が少ない実情が明らかになったことから、総会は、新型コロナ患者受入の重点医療機関、協力医療機関、患者受入病床割り当て医療機関に限って、20年度改定の経過措置や、年間実績に関する特例の適用期限を22年3月末まで延長することを決定。そのほかの医療機関は21年9月末で終了し、10月1日から、看護必要度などについては引き上げ後の本来の基準を適用、実績要件を満たしているかどうかの判定には、20年度実績を用いることとする。