中央社会保険医療協議会総会は9月22日、診療報酬調査専門組織である入院医療等の調査・評価分科会の2022年度診療報酬改定に関する議論の中間とりまとめを了承した。総会に先立って開かれた診療報酬基本問題小委員会では、「救急医療管理加算」の取扱いについて、見直しは必要ないとする診療側と、抜本的な議論を求める支払側の見解の相違が鮮明になった。
「救急医療管理加算」は、二次救急医療機関が一般病棟に重症救急患者を受け入れた場合の評価。だが、軽症者での算定が疑われるケースが散見されたことから、前回の20年度改定時には、算定対象となった状態の該当状況や、関連する指標のスコアなどのレセプトへの記載を求める要件の見直しが実施された。入院分科会の中間とりまとめによると、改定後に「加算1」を「意識障害又は昏睡」に該当して算定した患者では、JCSスコア0(意識清明)の割合が低下するなど、一定の改善が図られたことが明らかになっている。
同加算の次期改定での対応について、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、要件が見直されたばかりであり、当面は症例の集積を優先すべきだとの認識を表明。「今回の改定で変更する必要はないと考えている」と明言した。これに対して、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「前進はしたが、JCS 0の患者が依然として存在することは問題だ」と反論した。特に「加算2」は、「その他の重症な状態」への該当での算定が全体の6割を占めることが、患者の状態を見えにくくする要因になっていると指摘。「次回改定に向けてもう一度議論していくべきだ」と述べた。
幸野委員は、「急性期一般入院基本料」などの「重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)」の見直しにも言及。DPCデータを使う「看護必要度II」で判定した場合の該当患者割合が20年度改定後に上昇している点について、前回改定時の評価項目の見直しが「上振れに作用した懸念がある」などと述べ、より詳細な分析を要請した。
該当患者の判定基準では城守委員が、「A2点以上かつB3点以上」、または「A3点以上」を満たした患者では、「輸血や血液製剤の管理」がある場合のほうが、ない場合に比べて医師の診察や看護師による直接の看護提供の頻度が高いことに着目。「こうした項目について、もう少し評価に重みをつける必要があるのではないか」と述べた。