マイナンバーカードを利用したオンライン資格確認システムについて、厚生労働省は9月22日の社会保障審議会医療保険部会に、10月20日から本格運用を開始すると報告した。医療機関・薬局による薬剤情報と特定健診等情報の閲覧も始まる。本格運用は当初、3月下旬の予定だったが、医療機関・薬局における導入準備の遅れや、データの不備などで半年延期されていた。
厚労省によると、9月12日時点の「顔認証付きカードリーダー」の申込数は、全医療機関・薬局の56.3%に相当する12万8794施設。病院の申込割合は全都道府県で6割を超え、診療所は10県で5割を超えているという。このうち1万2894施設(全医療機関・薬局の5.6%)が、オンライン資格確認システムの導入準備をすでに完了。医療機関の内訳は、病院1125施設、医科診療所4091施設となっている。導入準備を終えた医療機関・薬局では、本格運用開始日以降、マイナンバーカードのみでの受診が可能になる。
また、厚労省はこの日の部会に、イレギュラーな事態が発生した時の対応も示した。たとえば、患者がマイナンバーカードを忘れて受診し、健康保険証も持参していない場合、あるいはオンライン資格確認未対応医療機関にマイナンバーカードだけで受診した場合については、患者からいったん10割分を徴収し、後日、被保険者資格を確認した上で、自己負担に応じた額(7割分など)を返還する流れを説明した(聞き取りなどで資格情報を確認できる場合などは医療機関の判断で自己負担分のみの徴収とすることも可)。
患者本人によるマイナポータルからの情報閲覧も順次始める。薬剤情報と特定健診等情報は10月中、医療費通知情報は11月から閲覧が可能。薬剤情報では、後発医薬品のある薬剤を対象に、後発医薬品に切り替えた場合の自己負担額や削減可能額の情報も提供する。医療費通知情報は、マイナポータルを通じて取得した情報をe-Taxに転記できる機能を備えており、医療費控除の申請手続きの簡素化が期待されている。1年分の情報が揃う、22年分の確定申告から利用が可能。