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胸椎椎間板ヘルニア[私の治療]

No.5084 (2021年10月02日発行) P.42

大場哲郎 (山梨大学大学院整形外科学講座講師)

波呂浩孝 (山梨大学大学院整形外科学講座教授)

登録日: 2021-10-01

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  • 胸椎椎間板ヘルニアは,胸椎椎間板が変性により脊柱管側へ突出・脱出し,脊髄や神経根を圧迫して多彩な症状を呈するもので,腰椎,頸椎の椎間板ヘルニアと比較して稀な疾患である。多くは無症候性であるため正確な発生頻度は不明であるが,症候性の全脊椎椎間板ヘルニアの0.15~4.00%とされる。好発年齢は40~50歳でやや男性に多く,症例の3/4はTh8からL1レベルに生じる。

    ▶診断のポイント

    無症候性のことが多く,臨床症状は多彩である。初期症状は背部痛や下肢のしびれが多く,進行すると下肢の運動麻痺や膀胱直腸障害を発症することがある。体幹や下肢の知覚障害領や左右の深部腱反射,下肢筋力低下の程度,歩行障害の有無を確認する。

    下肢痛や筋力低下など腰椎疾患と似た症状を呈することもあることから,腰椎レベルの検査のみが施行されて診断が遅れることがないよう注意を要する。比較的軽度の運動障害に伴う顕著な知覚上の変化は,胸椎椎間板ヘルニアに特徴的である。

    【検査所見】

    単純X線所見:胸椎椎間板ヘルニアに特異的な所見は少ないが,椎間板の石灰化像がみられることがある。

    CT:単純CTでは,椎間高の狭小化や骨棘形成が詳細に評価可能である。ヘルニアの石灰化や靱帯骨化の有無は鑑別診断に重要である。

    MRI:診断に最も有用であり,高感度で特異的な技法である。矢状面では椎間板変性に伴う膨隆や脱出,脊髄圧迫の程度や髄内の輝度変化が評価可能である。

    脊髄造影:我々はルーチンでは検査していないが,手術適応患者では施行されることもある。

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