厚生労働省は9月28日、10月以降の医療機関における新型コロナウイルス感染防止対策の支援方法などについて、事務連絡した。基本診療料に加算する特例は、予定通り9月末で終了。今後、感染防止対策に要する経費は補助金で支援する。また、同日付で感染患者などを診療した際の診療報酬上の特例を拡充。外来や在宅で中和抗体薬を投与した際の「救急医療管理加算1」の報酬額を、通常の3~5倍に引き上げる。
新型コロナ対応の診療報酬上の特例では、2021年4月以降、「感染症対策実施加算」として、外来は1回5点、入院は1日10点をそれぞれ基本診療料に上乗せしてきた。6歳未満の乳幼児については、さらに外来診療時に1回100点を上乗せできる特例を設定。その実施期間については、基本診療料の加算は21年9月末まで、乳幼児の特例は、21年10月以降は規模を縮小して22年3月末まで継続するとされていた。
今回の事務連絡は、予定通り基本診療料の加算は9月末で終了し、乳幼児の特例は10月診療分から50点に減額した上で、22年3月診療分まで継続することを示した。医療機関などの感染防止対策に要する、かかり増し経費は、今後、診療報酬ではなく、新たに創設する国の補助金制度で支援する。期間は21年12月末まで。補助上限額は、▶病院・有床診療所10万円、▶無床診療所8万円、▶薬局、訪問看護事業者、助産所6万円―とする。
これに対して、新型コロナ患者などを診療した場合の診療報酬上の特例は、いっそうの充実を図る。外来で新型コロナ疑い患者を診療した場合に算定する「院内トリアージ実施料」(300点)は、診療・検査医療機関に限り、550点に増額。算定にあたっては、診療・検査医療機関として自治体ホームページで公表されていることを要件として求める(22年3月末まで)。
新型コロナ患者の外来診療では、中和抗体薬「ロナプリーブ」を投与した場合の「救急医療管理加算1」(950点)の評価を通常の3倍の2850点に引き上げるとともに、その他の場合についても950点の算定を認める。
在宅では、自宅・宿泊療養者に緊急の往診を行った場合の「救急医療管理加算1」の評価について、ロナプリーブを投与した場合は通常の5倍の4750点、その他の場合は3倍の2850点にそれぞれ引き上げる。緊急の訪問看護を行った際の評価も通常の3倍に増額。訪問看護ステーションからの場合は「長時間訪問看護加算」として1万5600円を、医療機関からの場合は「長時間訪問看護・指導加算」として1560点を算定する。
介護においても、21年4月以降実施されてきた基本報酬に0.1%を上乗せする特例を9月末で終了。その代わりに10月1日以降は、地域医療介護総合確保基金の枠組みを活用して、特例の対象となっていたすべての介護施設・事業所に対して、感染防止対策のかかり増し経費を支援する事業を開始する。補助上限額はサービス別に設定する予定だが、平均的な規模の介護施設で6万円となる見込み。期間は21年12月末までとする。
補助金制度の詳細は医療、介護とも今後、改めて示される予定。厚労省は医療機関や介護事業者などに対し、申請に備えて、感染防止対策の継続に関係する領収証を保管しておくよう指示している。