中央社会保険医療協議会総会は10月13日、2022年度診療報酬改定に向けた二巡目の議論の初回として、在宅医療をテーマに意見交換した。厚生労働省はこの中で、▶「継続診療加算」における24時間要件の緩和、▶在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院の施設基準の見直し、▶患者が外来から在宅へ移行する際の外来担当医と在宅担当医の連携の評価―などを論点として示した。
18年度改定で創設された「継続診療加算」は、在支診以外の診療所が、かかりつけの患者に対して、他の医療機関との連携などにより24時間の往診体制と連絡体制を構築することを評価する報酬。算定件数や施設数は増加傾向にあるものの、ベースとなる報酬の「在宅時医学総合管理料」や「施設入居時等医学総合管理料」の算定回数に対する同加算の算定割合は、いずれも7%程度にとどまり、十分普及しているとは言い難い状況にある。
加算を算定していない理由で最も多いのは、24時間の連絡・往診体制を構築するための協力医療機関が確保できないことだが、厚労省は診療所単体では協力医療機関を確保できなくとも、市町村や医師会と連携して24時間体制を整えている事例があることを紹介。こうした事例を参考に要件のあり方を検討することを総会に提案した。
在支病の関係では、年間の緊急往診実績が31件以上の病院がある一方で、緊急往診は行なっていないが在宅患者の入院受入数は年間31件以上の病院があるなど、在支病の中でも病院によって果たしている機能や役割に違いがあることを指摘。こうした実態を踏まえた施設基準の見直しを検討課題に挙げた。在支病の約6割が「地域包括ケア病棟入院料」の届出を行なっている点にも着目。「地ケア入院料・入院医療管理料」の算定要件である看取りに関する指針の策定は、機能強化型の在支診・在支病の約半数、在支診・在支病の約3割でも行われていた。このため、在支診・在支病で看取りに関する指針策定の取組が進んでいることを踏まえた施設基準のあり方も、今後の論点に位置づけた。
このほか、▶通院が困難になった患者が在宅医療に移行する際に、外来と在宅の担当医が共同で患者に必要な指導を行った場合の評価、▶「在宅ターミナルケア加算」について、「死亡日及び死亡日前14日以内に2回以上の往診または訪問診療等を実施」の要件を満たす前に、急変などで患者が亡くなった場合の要件の考え方―についても検討を求めた。
議論で診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「継続診療加算」の協力医療機関の確保が困難な理由について、協力する側の診療報酬上の評価がなく、協力を要請しづらいためだと説明。解決策として、「例えば、連携する在支診、在支病の評価を検討するなど、もう少し取り組みやすいところから進めてはどうか」と提案した。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、要件緩和に慎重姿勢を表明。医師会や行政を中心に医療機関が連携し、在宅医療を面で支える体制の構築が前提でなければ、要件緩和には応じられないと主張した。
また、在支病の施設基準見直しで幸野委員は、緊急往診の実績の要件化を求めたが、城守委員はバックベッド機能を持つ在支病では患者の急変時に入院の判断をするケースが多く、緊急往診が少なくなるのは止むを得ないと反論。緊急往診だけを取り出しての要件化には無理があるとし、例えば緊急往診と緊急入院を一括りにして要件化する案も考えられるのではないかと述べた。看取りに関する指針の策定では、幸野委員が機能強化型の在支診・在支病での要件化を提案。診療側は、要件化は時期尚早との認識を示した。
外来担当医と在宅担当医の連携では、支払・診療側双方の委員から、オンライン診療の活用(D to P with D)を想定した評価とするべきとの提案があった。