中央社会保険医療協議会は10月22日に開いた総会で、がん対策の診療報酬上の評価などについて議論した。厚生労働省はこの中で、外来化学療法における副作用管理体制の整備や、がん患者に対する栄養食事指導の評価などを論点として提示した。
がんの薬物療法は外来での実施が一般的となり、外来で投薬治療を受けながら仕事を続ける患者は増加傾向にある。その一方、治療薬の開発が進んだことで、副作用の内容や発症時期が多岐にわたるようになり、副作用管理体制の整備が急がれている。
だが、現在の外来化学療法の評価は、注射料の加算報酬である「外来化学療法加算」を中心に組み立てられており、▶副作用の発現等に対する医師の一連の治療管理・指示、▶患者が帰宅した後もホットラインなどで対応できる体制の整備―などに対する評価は十分行われているとは言い難い。このため厚労省は、安心・安全な外来化学療法を推進していく観点からも、副作用への対応も含めた「外来化学療法加算」などの評価のあり方を今後の検討課題に据えた。
また、抗癌剤の副作用では、食欲不振、体重減少、味覚障害などが起きることがある。患者の状況に応じたきめ細やかな栄養食事指導が行えるよう、2020年度の診療報酬改定では、「外来栄養食事指導料」に、外来化学療法を受けている患者が対象の評価(注2)が新設されている。しかしながら、レジメン(治療内容)によっては、月2回以上の指導を求める算定要件を満たせず、算定できないことがあり、対応策の検討を求めた。いずれの論点についても、委員から異論は出なかった。