唾石症とは,唾液腺腺体内または導管内に結石(唾石)が形成される疾患である。唾液腺疾患で高頻度に認められ,顎下腺由来のものがほとんどである(80~92%)。舌下腺や小唾液腺での発生は稀である。成因としては,唾液の化学的性状の変化,唾液の停滞,異物,細菌感染,炎症により脱落した上皮などである。唾石の主体は無機質で,リン酸カルシウムや炭酸カルシウムなどが含まれる。唾石は通常1個だが,多発することもある。形態は,導管内では細長いことが多く,腺体内や移行部では球体が多い。
無症状で,偶然X線画像によって発見される場合もある。特徴的な症状は排泄管の閉鎖によるもので,唾液腺部の腫脹(唾腫),食事摂食時の疼痛(唾仙痛),唾液排泄管開口部からの排膿(唾膿漏)である。
導管内の唾石であれば,双手診により位置の確認ができる。双手診は,唾石を奥に押し込まないように深部から開口部方向に行うようにする。詳細な位置の確認は,X線検査が最も有用である。X線検査では,顎下腺の導管内であれば咬合法により確認でき,パノラマX線画像により導管内か唾液腺腺体内にあるかを確認できる。加えて,CT検査により詳細な位置を把握した上で治療計画を立案する。
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