【質問者】
奥山 舞 国立感染症研究所感染症疫学センター
【COVID-19の流行による外来抗菌薬使用量の減少,医療関連感染症の増加が報告されている】
最近のAMRのトピックと言われれば,やはり21世紀最大の感染症であるCOVID-19との関連を避けることはできないでしょう。COVID-19の流行はAMRにも大きな影響を与えています。そのうちのひとつは,外来で使用される抗菌薬使用量の低下です。2020年,日本国内における抗菌薬使用量が大きく減ったことがAMR臨床リファレンスセンターのサーベイランスで示されています1)。また,小児の抗菌薬処方が前年比で半分以下になっていたことが米国の研究でも示されています2)。これは,抗菌薬適正使用への意識が向上したというよりも,人流の低下や衛生への意識向上などによって感染症が減少したことが要因と思われます。今回を機に,全員が抗菌薬を使用しない状況に慣れ,適正使用への意識が向上してもらえたらよいと期待しています。
AMRと直接関係はないですが,同研究では小児に処方された抗うつ薬の処方量は前年とほとんど変わらなかったことも明らかにされており,COVID-19の流行による子どもたちへの精神的な負担が気にかかります。
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