中央社会保険医療協議会総会は11月26日、外来医療や在宅医療などについて、患者の病態や実施した医療の内容に関するデータを提出した場合の評価のあり方などを議論した。入院医療におけるDPCデータのように、診療報酬改定の結果検証をはじめとする各種の調査・分析に活用できるデータを得ることが狙い。診療側は、医療機関の事務負担増加を懸念し、協力可能な医療機関に対象を絞るよう要請するとともに、入院料のようなデータ提出の要件化には断固として反対する姿勢を鮮明にした。
この日は、①データ提出、②検査値データのレセプト請求への活用、③レセプトの摘要欄の記載項目の選択式化―などについて意見を交わした。
入院医療においては、入院料のほとんどでDPCデータの提出が要件化され、診療報酬でも「データ提出加算」として評価されている。提出データは、入院医療の実態把握のための各種調査に活用されているが、外来医療については「データ提出加算2、4」を届け出ている病院のデータのみで、診療所にはそもそもデータ提出を求める枠組みがない。また、外来医療や在宅医療などでは、「地域包括診療料」や「在宅時医学総合管理料」のように、投薬、検査、処置などの費用を包括した報酬が多数設けられていることも、提供されている医療の中身が見えにくい要因となっている。
このため、①で厚生労働省は、外来医療、在宅医療およびリハビリテーション医療を担う医療機関等の役割を適切に分析・評価できるようにする観点から、患者の病態や実施した医療行為の内容等に関するデータを提出した場合の評価のあり方を論点として提示した。各側の意見はデータ収集が必要との点では一致しているものの、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、人員に余裕がない診療所が、病院のように一定の質が保たれたデータを定期的に提出するのは難しく、「入院料のような要件化は現場の事情を無視した暴論だ」と要件化を牽制。協力可能な医療機関に対象を限定して評価することを提案した。
②では、レセプト審査の効率化や質の向上のため、審査の参考情報として検査値データのレセプト摘要欄への記載を求めることを検討課題に挙げた。③では、医薬品のレセプト請求の際にレセプト摘要欄にフリーコメントとして入力している項目について、診療行為と同様、選択式コメント記載コードを設定する案を示した。
検査値データの記載について診療側は、レセプト審査の画一化につながる恐れがあると危惧し、参考情報としての活用にとどめるよう強く要請。医薬品に関する記載項目の選択式化に関しては、フリーコメント欄も残すべきだと主張した。