政府は12月24日、2022年度予算案を閣議決定した。一般歳出のうち社会保障関係費は前年度比1.2%増の36兆2735億円となった。概算要求時に6600億円を見込んでいた、いわゆる自然増は、診療報酬本体の引き上げや薬価等の引き下げ、リフィル処方箋の導入をはじめとする適正化策で差し引き2200億円を削減し、4400億円となった。
厚生労働省所管の一般会計は総額33兆5160億円(21年度当初予算費1.1%増)、うち社会保障関係費は33兆1833億円(1.2%増)。内訳は、「年金」12兆6857億円(0.5%増)、「医療」12兆円1903億円(0.9%増)、「介護」3兆6003億円(3.3%増)―などとなっている。
22年度予算案は「16カ月予算」として21年度補正予算と一体的に編成。全世代型社会保障と一人ひとりが豊かさを実現できる社会の実現を目標に、切れ目ない予算措置を行う。
医療分野の予算項目をみると、新型コロナウイルス感染症から国民を守る医療等提供体制の確保に20億円(補正予算では2兆2353億円)、ワクチン・治療薬の研究開発の推進に15億円(補正8817億円)―を確保。地域医療構想・医師偏在対策・医療従事者働き方改革の「三位一体改革」には1618億円(補正20億円)を計上し、▶地域医療介護総合確保基金等による地域医療構想の推進、▶総合診療医の養成支援、▶ICT活用やタスク・シフティングの推進―などに取り組む。
診療報酬・薬価改定への対応では、診療報酬本体を0.43%(国費292億円増)引き上げる一方で、薬価は1.35%(マイナス1553億円)、材料価格は0.02%(マイナス17億円)、それぞれ引き下げる。診療報酬改定では特例的な対応として消費税の増収分を充て、看護職員の処遇改善と不妊治療の保険適用(治療薬の保険適用分は薬価改定に含まれる)も行う。
医療分野におけるデータの利活用では、「医療情報化支援基金」の補助対象に、電子処方箋を導入する医療機関・薬局のシステム整備に対する支援を追加する。
介護分野においても、医療の看護職員と同様、介護職員の処遇改善を実施。補正予算との組み合わせにより、介護職員の収入を3%程度(月額9000円)引き上げる。このうち、22年度予算で手当てする22年10月以降の賃上げ分については、22年度中に介護報酬改定を行い、対象サービスごとに介護職員数(常勤換算)に応じた加算率を設定し、各事業所の総報酬額にその加算率を乗じた額を支給する。