塩野義製薬は2月7日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として開発中の経口抗ウイルス薬(開発番号:S-217622)について第2/3相臨床試験のうち「Phase 2a part」(目標症例数:69例)の解析結果を発表した。プラセボと比較して「有意に優れた抗ウイルス効果」を示すなど良好な結果が得られたとしている。
この試験は、日本人成人の軽症〜中等症COVID-19患者または無症候の感染者を対象に無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験として実施。S-217622を1日1回、5日間経口投与した際の有効性・安全性を評価した。塩野義によると、4日目(3回投与後)にはウイルス力価の陽性患者割合がプラセボ群と比較して約60〜80%減少。S-217622投与群では重症化症例は認められず、「COVID-19に特徴的な臨床症状の改善傾向を確認した」という。
塩野義は2月9日より軽症〜中等症患者を対象とした試験を「Phase 3 part」に移行させ、3月までに100万人分の提供体制を構築する方針。承認申請の時期については「引き続き厚労省やPMDAと協議していく」としている。
塩野義は、オミクロン株に対する活性(非臨床薬効)のデータも公表。「S-217622は社会的に問題となっているオミクロン株を含め、幅広い株に対して活性を示す」としている。
COVID-19治療薬として開発中のS-217622
北海道大学と塩野義製薬の共同研究から創製された3CLプロテアーゼ阻害薬。ウイルスの増殖に必須の酵素である3CLプロテアーゼを選択的に阻害することでSARS-CoV-2の増殖を抑制する